筆者は今年の初頭に,容量が多くて性能の低いハードディスク・ドライブ(120GB,5400rpmのSATAドライブ)ではなく,容量は少ないが高性能のハードディスク・ドライブ(80GB,7200rpmのSATAドライブ)を搭載したノートブックを購入した。100GB,7200rpmのドライブもあったのだが,当時は80GBのものと価格差が大きかったため(容量が20GB違うだけで150ドルの価格差があった),費用対効果を考えて80GBのほうを選んだ。

 その後,ノートブックを1年近く使用すると,空き領域がほとんどなくなってしまった。80GBのドライブは,フォーマットすると約70GBになる。その上に,アプリケーションをインストールしたり,アクティブなデータ・ファイルが6カ月分蓄積したりしたことで,空き容量は約20GBになっていた。Windows Vistaと筆者のインストールした諸々のアプリケーションが使用している容量は,合計で約30GBである。それぐらいの容量は,週末に撮影した写真を保存しただけでもいっぱいになってしまうだろう。これでも筆者は,データ・サイズをできるだけ小さくし,必要のないものはすべて削除するように努力してきたのだ。

 筆者は,絶えることのない市場の力によって,ノートブック用の2.5インチSATAドライブの価格が引き下げられ,200GB,7200rpmのドライブが登場したことを知った。つまり,容量が200GBよりも少ないドライブをアップグレードとして購入すれば,費用に見合う効果が得られる可能性があるのだ。筆者は,今年の初めに20GBを追加していれば必要であっただろうコストよりも安い価格で,160GB,7200rpmのドライブが売られているのを見つけた。このドライブを手に入れれば,空き領域を20GBから100GB以上に増やすことができる。

 しかし,ドライブを1台しか搭載していないコンピュータ,とりわけノートブックのハードディスク・ドライブをアップグレードするのは,今も昔も非常に厄介な作業である。これまで多くのITスタッフが,データを新しいドライブに移して,ブート可能なOSが利用できることを確認する作業に,おびただしい時間を浪費してきた。

 しかし,Vistaのある機能を利用することで,筆者はバックアップ作業の苦痛を最小限に抑えることができた。Vistaの「バックアップの状態と構成」アプリケーション内にある「Complete PCバックアップ」機能を使うと,システム・ボリュームを含む,すべてのドライブ・ボリュームのバックアップを行うことが可能なのだ。筆者は,ノートブックを出張に持っていく前や,大規模なアプリケーションのインストールやアップグレードを行った後に,このバックアップ方法を使って,正常に機能することが確認済みの直近数世代分の設定内容を外付けのUSBドライブに保存することにしている。

 最悪の場合でも,大容量ドライブをノートブックに設置するのに苦労して,数日を無駄にするだけだろうと考えながら,筆者はその新しいドライブを注文した。

 商品が到着すると,筆者は古いドライブを取り出して,新しいドライブを設置し,コンピュータのふたを閉めた。そして,Vista CD-ROMから起動を行った後,Windows Recovery Environmentに入って,Complete PC復元を選択した。Complete PC復元は,自動的に外付けのUSBドライブを検出した後,バックアップの場所を指定するようプロンプトを表示した。筆者が復元に使いたいバックアップのバージョンを選択すると,復元作業が始まった。

 45分後,新しいドライブを積んだノートブックを起動すると,筆者は,160GBのドライブに交換したはずなのに,80GBのボリュームが一つしかないことに気づいた。そこで筆者は,Computer Management MMCスナップインを呼び出して,Disk Managementスナップインを起動した。このスナップインを使うと,既存のボリュームを未割り当て領域に拡張できた。数分後,利用可能な空き領域は,1時間前の20GBではなく,108GBに増えた。アプリケーションやWindowsアクティベーションに関連する問題は全く発生しなかった。筆者は,苦痛をほとんど感じることなく,ワークスペースを増やすことに成功したのだ。

 自分のバックアップ・ツールが正常に機能したときは,うれしいものだ。復元ツールが正常に機能したときは,もっとうれしい。筆者は今後も,このバックアップ・テクニックを使い続けるつもりである。なぜなら,150ドル以下で買える500GBのUSBドライブに,3世代分の完全システム・バックアップを保存できるからだ。さらに,必要が生じた場合,新しいハードウエアに復元できるということに,筆者は安心感を覚える。

 Vistaには,他にもいくつかのバックアップ技術が内蔵されている。これらの機能があることだけでも,ユーザーは同OSに大きな付加価値を見出すだろう。こちらのURLで,Vistaのバックアップ機能に関する詳細な情報が公開されている