グループウエアの使いこなしに問題意識を持つ情報システム担当者の本音座談会。第2回はグループウエア自体をテーマに、どんな機能を使っているのか、今後はどんな強化を望むのかを話し合った(第1回の内容はこちら)。市場に出ている製品について、「基本中の基本であるユーザー・インタフェースがまだ使いにくい」、「ソフトが設定している情報共有の単位が現場のニーズに合わなくなってきた」といった声が挙がった。 (構成:玉置 亮太=日経コンピュータ、写真:山田 慎二)

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 「前回は情報共有に関する問題意識を話し合い、どんな情報を共有すべきかという、基本がテーマだった。今回はグループウエア製品自体をテーマに議論しよう」。勉強会の座長を務める東亜建設工業の畑久仁昭管理本部副本部長がこう述べて、勉強会はスタートした。

 まずは、そもそもどんな機能を最もよく利用しているのか、参加者が意見を出し合った。全員が共通して挙げた機能は2つ。カレンダーを使ったスケジュール管理機能と、会議室などの設備予約機能である。

スケジュール管理と設備予約が人気

写真1●畑 久仁昭 東亜建設工業 管理本部副本部長BCPプロジェクト室長
写真1●畑 久仁昭 東亜建設工業 管理本部副本部長BCPプロジェクト室長
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 畑本部長が勤務する東亜建設では、マイクロソフトのグループウエア「Exchange Server」を使ったスケジュール管理が、ほぼ全社員に定着しているという。「原則としてグループウエアに入力しているスケジュール情報を基に会議や打合せの日程を調整する。いちいち電話やメールで『会議をします』などとは言わなくなっている」(畑本部長)。

 同社では、空いている時間帯があった場合、そこへ勝手に予約を入れられても文句を言えないようにしているという。「空き時間帯は、いつでもスケジュールを入れていいよ、という意味でもある」(畑本部長)。

 「ホテル業という特性上、当社でもスケジュール管理は必須機能」。こう語るのは、オリエンタルホテル東京ベイ 経営企画部経営企画課経営企画担の坂井忠史氏である。「ホテルの従業員は、基本的にシフト制で勤務時間を決める。個人の都合で勝手に休みを取ると、他の従業員に迷惑がかかるだけでなく、業務自体が滞ってしまう。全員の勤務スケジュールが分かる仕組みがないと、いつ休みを取っていいのか分からなくなってしまう」(坂井氏)。

 同社はサイボウズの「ガルーン2」を利用している。ホテルで開催される会議の勤務シフトを組むケースを例に取ると、まず翌月分の会議予定を、マネージャーなどが全員のスケジュールに入力。各従業員は、休みを取りたい会議を自分のスケジュールから外すようにしている。前後のシフトに応じてマネージャーが調整したりしているが、「課長や部長が土日に出勤することも珍しくない」(坂井氏)。

写真2●坂井 忠史 オリエンタルホテル東京ベイ 経営企画部経営企画課経営企画担当
写真2●坂井 忠史 オリエンタルホテル東京ベイ 経営企画部経営企画課経営企画担当
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 グループウエアを使ってスケジュールをオープンにする弊害を指摘する意見も出た。竹中土木の松田美孝 管理本部情報システム部課長は、「スケジュール管理を導入してすごく効果が上がった」としつつ、「グループウエアに休みの予定を入れるだけで、上司に何も言わず勝手に休暇を取られてしまうこともある。休みの理由まで申告する必要はないが、最低限のコミュニケーションは必要ではないか」(松田課長)。

 また、他の参加者からは、「便利な機能だし、合理的だとは思う」とする意見が出た一方で、「なぜ勝手に予定を入れるのかと反発を受けて、結局は定着しなかった」といった意見が出た。

 設備予約機能については、モンテールの鈴木智也 取締役管理本部長が、自社の利用法を披露した。同社はサイボウズの「Office 6」を、会議室だけでなく営業車の予約にも活用しているという。

 本社の営業担当者には、1人に1台ずつ営業車を割り当てている。しかし拠点には共用の営業車もある。営業担当者の間で共用車の取り合いになることも珍しくないという。といって、むやみに共用車の台数を増やしてもムダが多い。

 「なんとかうまくやりくりできないかと思い、グループウエアの設備予約機能を利用することを思いついた。施設予約機能に「共用車」の枠を1つ作っておく。それで何時から何時まで使う、と予約を入れるようにしている」(鈴木取締役)。