根絶が難しいメールの誤送信。その対策に向けた専用ツールが登場した。NTTソフトウェアの「CipherCraft/Mail 誤送信防止版」である。エンドユーザーにあて先のアドレスや添付ファイルを再チェックさせ,誤送信を減らすというものだ。誤送信による情報漏えいに歯止めをかけられるかどうか注目が集まる。

 「CipherCraft/Mail 誤送信防止版」は,クライアント・パソコン上で動作するメール誤送信の防止用ソフト。既存のメール環境を変えることなく導入できる点が特徴だ。

 同社が従来から提供している暗号メール・ソフトのCipherCraft/Mailには元々,メールの暗号化機能のほかに,誤送信対策の機能も実装されていた。ただ最近,相次ぐ事故を背景として問い合わせが急増してきた。このため,誤送信対策に特化した製品を開発した。専用製品の開発に当たり,誤送信防止の機能を強化。暗号メール・ソフトのCipherCraft/Mailにも同じ機能を搭載した。誤送信防止版の価格は税別でユーザー当たり4800円から。暗号化機能を備える旧版の約半額である。

メール環境は変えずに使える

 CipherCraft/Mail誤送信防止版は,メール・クライアントと同じクライアント・パソコン上で,SMTPプロキシとして動く(図1)。メール・クライアントが送信したメールを同ソフトがいったん受け取り,ここで誤送信の危険がないかをチェックする。このためメール・クライアントの種類によらず利用できる。

図1●メールの誤送信対策機能を強化したNTTソフトウェアの「CipherCraft/Mail誤送信防止版」
図1●メールの誤送信対策機能を強化したNTTソフトウェアの「CipherCraft/Mail誤送信防止版」

 誤送信防止とは言っても,同製品が自動的に誤送信を見付けて止めるというわけではない。あくまでも,送信しようとしているメールについての確認画面を表示し,ユーザーに気付きの機会を与える役割である。

 仕組みはこうだ。SMTPプロキシは送信メールを受け取ると,そのメールのあて先,添付ファイルなどの情報を読み取り,確認画面を表示する。例えば添付ファイルの確認欄では,添付ファイルのファイル名や容量の一覧を確認できる。画面上で添付ファイルをクリックすれば内容を確認することも可能だ。あて先確認欄では,ToやCc,Bccなどの種別を表示。過去に送信したことがあるあて先かどうかも分かるようになっている。画面上ですべての点を確認すればメールを送信する。

 さらに11月1日に発売した新版では初心者に配慮し,誤送信の危険度を点数付けして表示する機能を搭載した。確認ダイアログ上に表示された添付ファイルやあて先,キーワードを一つずつチェック・修正して点数を一定以下にしなければ送信できないという使い方もできる。危険度を算出する際の項目ごとの重み付けはGUIツールで設定できるようになっている。