公的/非ベンダー系資格は、依然としてソリューションプロバイダの支持率が高い。従業員に取らせたい資格では、一極集中型から分散型にシフトした。ただし、見極めも進んでいる。資格取得者に対する一時金平均支給額では、情報処理技術者試験プロジェクトマネージャが、ついに20万円を突破。一方、同じプロマネ向け資格であるPMPや、これまで営業効果が高いと見られてきたITコーディネータは、評価を下げた。ベンダー系資格では一時金平均支給額でシスコが頭打ち。逆にオラクルが大幅アップと明暗を分けた。

 本誌(日経ソリューションビジネス)が2007年10月に実施したアンケート調査から、営業から開発工程まで広範囲に人材の育成を強化しようとするソリューションプロバイダ各社の姿勢が明確になった。本調査は、主要ソリューションプロバイダ150社にアンケートを送付。人事部門や教育部門などの担当者を中心に89社(有効回答率 59%)の回答を得た(図1)。その結果、公的/非ベンダー系資格について、支持率の分散が顕著になったことが分かった。

社員に取らせたいIT資格
図1●社員に取らせたいIT資格
主要ソリューションプロバイダ89 社が回答。10 件以上の回答を得た資格のうち上位10 資格を掲載した[画像のクリックで拡大表示]

 例えば技術職に取らせたい資格では「情報処理技術者試験プロジェクトマネージャ」が首位を堅持した。しかし、支持率は前年比6ポイント減少。同じプロジェクトマネジャー向け資格である「PMP」は前年比7ポイント減った。逆に四つの技術分野に分かれる「情報処理技術者試験テクニカルエンジニア」が支持率を上げた。具体的には、「情報処理技術者試験テクニカルエンジニア(ネットワーク)」が3ポイント、「同(データベース)」が2ポイント、「同(情報セキュリティ)」が11ポイント、それぞれ前年から伸ばした。「同(システム管理)」も今回初めて10位に登場した。

 プロジェクトマネジャーの育成は、今なおソリューションプロバイダの最重要課題。しかし、各社は同時に赤字プロジェクトを撲滅する管理体制の強化も進めてきた。それが整って体質強化を図った今、後手に回っていた技術力の底上げと専門知識の深耕に着手する余裕が生まれたようだ。

 同じ傾向は営業職に取らせたい資格にも当てはまる。前回首位だった「情報処理技術者試験初級システムアドミニストレータ」は、支持率を前年比10ポイントも減らして2位に。代わって同2位だった「情報処理技術者試験基本情報技術者」が8ポイント増で首位に浮上した。より難易度の高い資格を課すことで、専門性の高い営業担当者を育成しようとする狙いが見て取れる。

 また、ソリューション商談の案件増に伴い、提案力の強化が大きな課題に浮上しているようだ。「ITプランニング・セールス」(ITPS)が営業職に取らせたい資格として24%の支持率を集め、5位に初登場。「中小企業診断士」も支持率を5ポイント増やした。

 なお、今回もベンダー系資格は、取らせたい資格に一つもランクインしていない。ベンダー系資格は製品ごとに設定されているため、資格の取得は該当製品を扱う部門で支援するケースが多い。だが本調査は全社の人事や人材開発部門が回答しているため、部門で支援しているベンダー資格までは評価が難しく、無回答が多くなったことが影響していると見られる。