WOWOWの累積加入者数が,2007年10月に3カ月ぶりで減少した。BSデジタル放送とBSアナログ放送を合わせて10月に獲得した新規加入者数は3万3315件,解約者数は4万1425件だった。この結果,10月末の累積加入者数は9月末より8110件減少して,238万428件となった。

 こうした結果について,同社の和崎信哉社長は11月8日の定例会見で,「夏商戦と冬商戦のはざまに当たる10月は,毎年加入営業が苦戦する。今年10月の解約者数は例年並みだったが,新規加入者の獲得は不振だった。それでも,視聴料を安くする価格訴求の営業は行わず,番組内容を訴求する営業手法を維持した」と述べた。

 WOWOWがこうした判断を下した背景には,昨年末から今年初めにかけての苦い経験がある。この時期に同社は,視聴料を安くして新規加入者を大量に獲得したが,その反動で大量の解約を招いた。2007年度上期に累積加入者を約4万5000件減らし,その大半が2007年度第1四半期に集中した。

 WOWOWの番組訴求の営業手法は,効果が出始めているようだ。例えば11月3日の「無料放送の日」のわずか1日で,昨年の2.5倍に当たる1万859件の新規加入者を獲得した。12月2日にも無料放送を予定しており,11月の無料放送の日を上回る実績を上げたいと意気込む。

 また1月と2月は例年,累積加入者が減少する傾向にある。その対策としてWOWOWは,2008年1月に番組改編を行う。改編のポイントは,視聴者の満足度(顧客満足度)を向上させて新規加入者を増やすとともに,解約の抑止を狙うことである。そのため,(1)視聴者がより身近に感じるペイテレビ(有料放送),(2)新ジャンルの番組の投入──を編成の2本柱に掲げた。

 視聴者が身近に感じるペイテレビを実現するために,視聴者の生活時間に即した番組編成を行い,視聴機会の拡大を目指す。具体的には,地上波放送がニュース番組中心になる平日午後11時帯に海外ドラマを放送し,平日午後8時から放送している映画を午後9時からに移動する。また平日の午前10時から午後3時の時間帯は,SDTV(標準画質テレビ)による3チャンネルのマルチ編成にして,映画やドラマなどの再放送を中心に提供する。

 新ジャンルの番組の投入に関しては,2008年春の開始を目指し,オリジナルの連続ドラマを年間2シリーズ程度制作する。オリジナルのドキュメンタリー番組も放送する予定で,既に2番組の提供が決まっている。海外ドラマやスポーツなどの番組に関連した情報系のレギュラー番組も立ち上げる予定である。こうした取り組みの成果は今年度と同様に,来年度の第1四半期に問われることになる。