昭和シェルとホンダが、「CIGS太陽電池」の量産を世界に先駆けて開始した。供給不足が続くシリコンを使わないCIGSは、世界的に急伸する太陽光発電市場で一定のシェアを獲得する可能性が高い。

 太陽光発電は、シャープや京セラといった電機メーカーが生産規模で世界のトップを走ってきた。だが、ここへ来て電機メーカーではない“異業種”が太陽光発電に名乗りを上げた。昭和シェル石油とホンダだ。

 両社が取り組むのは、現在の主流であるシリコンを使う太陽電池とは別の方式。銅(Copper)とインジウム(Indium)、ガリウム(Gallium)、セレン(Selenium)の4元素からなる「CIGS」という化合物を使ったものだ。半導体と太陽電池市場の急伸に起因するシリコンの供給不足は2010年ごろまで続くとも言われる。その間に、原材料の供給不安のないCIGSが、一定のシェアを獲得する可能性は十分にある。

 いち早く生産を開始した昭和シェル石油の子会社の昭和シェルソーラー(東京都港区)は、2006年末に年産2万kWの宮崎第1工場を稼働させ、今春から「ソラシス」の商標で出荷を開始。生産ラインの調整も進み、7月には量産体制に入った。さらに同社は150億円をかけて2009年に年産6万kWの宮崎第2工場を建設する計画だ。一方のホンダは、今年6月からパイロットラインで生産した太陽電池を関東圏で試販しており、10月中にも太陽電池の生産・販売を担う子会社のホンダソルテック(熊本県大津町)が2万7500kWの量産ラインを稼働させる。

 昭和シェルとホンダがCIGSに取り組み始めたのは、いずれも10年以上前だ。ホンダソルテックの数佐明男社長は、「先行するシリコン系よりもCIGSの方が発電効率やコスト面で潜在力があると判断した」と打ち明ける。その後、両社とも研究開発を重ね、シェルが2005年8月に、ホンダも同年末に事業化を決めた。