ケンウッドのCIOである田岡一詩執行役員待遇 CIO 経営戦略統括部長 兼 同部経営企画室長 兼 同部技術戦略企画室長 |
2000年3月期~2002年3月期の3期連続最終赤字という修羅場からよみがえったケンウッド。その同社は2007年8月、日本ビクターに出資した。2008年の経営統合に向けてIT(情報技術)面でも対応に追われている。
同社でCIOを務める田岡一詩 経営戦略統括部長(兼 同部経営企画室長 兼 同部技術戦略企画室長)は2006年入社だが、実はケンウッドの再建を指揮した代表取締役会長の河原春郎氏とは旧知の仲。その出会いは30年以上前にさかのぼる。2人とも東芝府中工場で働いていたことがあり、河原会長が課長だったころに田岡氏が新入社員で配属された上司と部下の関係だったという。
その田岡氏は東芝時代は電力システム関連の技術部門や経営企画部に所属した。ITにも、発電所向け監視制御システムなどのベンダーとして関わったことがある。
ケンウッドは2000~2002年の危機的な状況を脱して以後、情報システムを徐々に強化してきた。
まずは2004年に会計システムを刷新して連結会計処理のスピード化を図った。生産系では2007年、PSI(生産・販売・在庫)の調整を週次で図る業務を支援するシステムを稼働させたところだ。
まだまだここ2~3年で、様々な業務関連のシステムを刷新する考えだ。まず、市場の変化に追従してタイムリーに新製品を出せる体制作りだ。このために試作回数を減らしたりするためのITを導入していく。例えば、3次元データを共有して開発者のコラボレーションを支援するシステムなどを検討しているようだ。「設計期間を半分に短縮することを目標にしている」(田岡氏)という。
このほか、販売管理システムについても、刷新に向けて現在要件定義を進めている。
運用管理コスト削減のためにシステム統合も推し進める。「かなり統合は進んできているが、部品表の管理などにまだ汎用機を使っている。ゆくゆくすべてオープン・システムにリプレースしていきたい」(田岡氏)という。
日本ビクターとは、経営統合の正式決定を待たずに、相互の生産委託といった業務提携や設計・生産関連システムの共用について話し合いを始めている。例えば、調達関連の情報をどう共有していくかなどだ。
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