タイコ ヘルスケア ジャパンの中谷透・情報サービス本部本部長。親会社は、2007年7月に米タイコ インターナショナルから独立してニューヨーク証券取引所に上場したコヴィディエン。タイコ ヘルスケア ジャパンも2008年中に社名を変更する予定 |
「新システムを構築する時は一緒に作り上げる覚悟でお願いします、とユーザー部門に対して繰り返し説明している。そうでないとユーザー部門はリクエストしたらしっぱなしという企業が多い。例えば、ユーザー部門から『忙しいからカットオーバーの日程を遅らせてほしい』と言われたら、『延期したら経費がかさむのでその分を負担してください』と言うようにしている」
世界有数のコングロマリットとして米ゼネラル・エレクトリックと比べられることが多い米タイコ インターナショナルから2007年7月に独立し、ニューヨーク証券取引所などに上場した米コヴィディエン。上場前の「タイコ ヘルスケア」という事業部門名が示すように、外科用手術関連製品、呼吸管理製品など医療製品の製造を手がける。年商100億ドルを超す巨大なグローバル企業である。
そんなコヴィディエンの日本法人であるタイコ ヘルスケア ジャパン(2008年中に社名変更の予定)でCIO(最高情報責任者)を務めるのは、約30年間にわたって複数の外資系企業の情報システム部門やIT(情報技術)ベンダーでキャリアを重ねた後、同社に入社した中谷透氏。そのリポートラインは、日本法人社長の織畠潤一社長と米本社のCIOにある。中谷本部長は「過去の人脈と経験が現在の業務に大いに役立っている」と語る。
CIOとしての中谷本部長の主な役割は、基幹システムの開発、情報系システムの開発、通信ネットワークなど情報インフラの管理、の3つ。「一番大切なことは、ユーザー部門がいかにIT(情報技術)を活用してもうけることができるようにするか」というのが同氏のポリシーである。コスト削減は当然として、売り上げをどう伸ばすかについて日々アイデアを練る。例えば、「営業担当者をできるだけ営業活動だけに専念させられる環境をITで実現したい」と考えている。
中谷本部長が率いる情報サービス本部がいま注力している事項の1つに、BCP(業務継続計画)の強化がある。同社は基幹システムを構成する主要機器を台湾企業のデータセンターにバックアップしてあり、非常時には国際回線に切り替わり、数十時間以内に自動復旧する体制を採っている。「最終的にはリアルタイムで切り替わるよう、毎年進化させている」と中谷本部長は言う。
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