総務省は10月15日,2.5GHz帯周波数を利用した事業免許(特定基地局開設計画の認定)を申請した事業者名を公表した。ウィルコム,オープンワイヤレスネットワーク,ワイヤレスブロードバンド企画,アッカ・ワイヤレスの4社が,2.5GHz帯に用意された二つの枠を争うことになった。免許の割り当て事業者は12月に決まる予定だ。

 総務省は免許の割り当て方針を公開した際に,「第3世代携帯電話(3G)事業者とそのグループ会社が参入する場合は3分の1未満の出資に制限する」とした。このため,3G事業者各社は出資企業を巡って,直前まで水面下の交渉を続けていた。

 最終的に,KDDI陣営のワイヤレスブロードバンド企画は米インテル・キャピタルやJR東日本,京セラなどと6社連合,ソフトバンク+イー・アクセス陣営のオープンワイヤレスネットワークは投資会社やISP(インターネット接続事業者)を中心に8社連合,NTTドコモ+アッカ・ネットワークス陣営のアッカ・ワイヤレスにいたっては放送や商社,鉄道,金融,ISPなど16社による大連合となった(表1)。制限がないウィルコムは単独で申請した。

表1●2.5GHz帯周波数の事業免許は既存の第3世代携帯電話事業者3陣営とウィルコムの計4社が申請
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表1●2.5GHz帯周波数の事業免許は既存の第3世代携帯電話事業者3陣営とウィルコムの計4社が申請

商用サービス開始は2009年以降か

 10月11日には免許申請を終えたオープンワイヤレスネットワークとアッカ・ワイヤレスの2陣営が説明会を開催し,事業計画の概要を明らかにした。

 オープンワイヤレスネットワークは2009年3月にサービスの開始を予定し,料金は「月額3000~5000円で提供したい」(深田浩仁・代表取締役社長兼COO)とする。2015年3月末までの設備投資額は約2500億円。エリア展開は2010年3月末までに人口カバー率50%以上,2015年3月末までに同90%以上を予定。加入者数は2015年3月末までにパソコン向けデータ通信サービスだけで約400万人を目指す。

 アッカ・ワイヤレスも2009年3月のサービス開始を予定する。料金は「現在の3GやPHSを使ったデータ通信カードのサービスよりも,2~3割は安くできると考えている」(木村正治代表取締役社長)。2015年までの設備投資額は約2000億円。エリア展開は首都圏の国道16号線の内側のほか,大阪市,神戸市,京都市,名古屋市から始め,人口カバー率は2010年に約50%,2013年に約70%を予定する。加入者目標は2013年で約500万人である。

 一方,KDDI陣営とウィルコムは事業計画について沈黙を続ける。ただ,上記2社と事業計画の面で大きな差があるとは考えにくい。「2009年3月に開始」や「月3000~5000円」といった数値がサービスの目安になりそうだ。

 総務省は各社の比較審査を,電波監理審議会(電監審)に諮る。電監審は11月に各社から事業計画についてヒアリングを実施し,12月にも割り当て事業者を決める予定だ。

 実は電波の免許割り当てに際して,電監審が比較審査を実施するのは今回が初めて。総務省は事業者が決まった後で「選定理由をきちんとした形で公表する」としている。