ここ1年で,Webサイトの“リッチ化”が急速に進んでいる。

 リッチ化とは,きれいなビジュアルや動画を活用したサイトということではない。コンテンツの注目度を判定するような最新技術を使ったサイト,FlashやAjaxなどを駆使して使いやすさを追求したサイト,Web APIを積極的に公開してマッシュアップを促進するサイトなど,それぞれ独自の「戦略」によって,競合するサイトとの差別化を狙っているのが特徴だ。

 こういった動きは,様々なアプローチを試行錯誤することで,今後ますます増えてくると考えられる。そこで,リッチ化にまつわるWebサイトの最新の記事をまとめてみた。あらためて,これからのリッチ化のトレンドを見極めておこう。

●RIA化するWeb ~「戦略」を必要とするWeb~

 RIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)の広がりにより,開発者は様々な知識を持っていることが前提となってきた。開発者が何を得意とするかは副次的な選択肢となり,クライアント企業とユーザーにとって本当に望まれる「実装技術」を提案するという,開発者責任とも言える「モラル」も求められるようになってきている。つまり,何ができるかではなく,何をすべきか,ということだ。

●東京モーターショー2007をバーチャル体験できる「どれみる?マップ」

 2007年10月27日から11月11日まで,幕張で第40回東京モーターショー2007が開催中だ。Webサイト「gooラボ」の「どれみる?マップ」は東京モーターショー2007会場をバーチャル体験できるコンテンツだ。見たい車が会場のどこに出品してあるのかといったことから,出品車の値段,コンパニオンの服装までわかる。

●グッドデザイン賞を受賞した「スゴイ地図」のすごい理由

 リクルートが運営する位置情報サービス「スゴイ地図」が,2007年10月1日発表の第51回グッドデザイン賞を受賞した。このサービス,いったいどこが“すごい”のか。企画や操作性から読み解いてみた。どうやら,単にデザインが変わっているだけではなく,おすすめのテーマなどがところ狭しと並ぶ「おすすめ」ぶりがスゴイ地図の真の特徴のようだ。

●SNSの革命児Facebookをめぐる冒険

 急成長を続けるSNS「Facebook」は,そのプラットフォームを一般に公開して,自由にアプリケーションを開発できる点が,ほかのSNSと大きく異なり,「ソーシャルOS」と呼ばれるゆえんになっている。Webプラットフォームをオペレーティングシステムと見なすアイデアの魅力にとりつかれているのはFacebookだけではない。いずれ,MicrosoftやGoogle,Yahooといったソフトウエアの巨人たちを巻き込む,「ソーシャルOSを巡る覇権争い」が勃発するだろう。

●IBM,企業向けマッシュアップ・プラットフォームのプレビュー版公開

 米IBMは米国時間10月9日,容易にマッシュアップを構築できるプラットフォーム「Mashup Starter Kit」のプレビュー版を公開した。同プラットフォームにより,社内のデータベースや特定部門の情報などをWebサービスと組み合わせ,Webベースの柔軟なアプリケーションを短時間で構築できるという。

●Microsoft,マッシュアップ構築サービスのベータ版を公開

 米Microsoftは2007年10月18日(現地時間),複数のWebサービスを組み合わせて新しいアプリケーションを開発する,マッシュアップ構築サービス「Popfly」のオープンベータ版を公開した。任意のWebサービス(Popflyでは「ブロック」と呼ぶ)をマウスで結び付けていくだけでマッシュアップを作れる。サービスのページは英語だが,日本語版の技術文書も公開されている。

●マイクロソフト,Webサイトに地図情報を組み込むためのSDKを公開

 マイクロソフトは2007年9月19日,同社の地図情報サービス「Virtual Earth」を,Webサイトやソフトウエアに組み込むために使用する日本語版開発キット(SDK)を公開した。Virtual Earthは,Webブラウザーにプラグインソフトを組み込めば,3次元の地図を表示できるサービス。Googleの地図情報サービス「Google Earth」では,専用ソフトをパソコンにインストールする必要があり,Virtual Earthのほうが手軽に利用できる。