宙に浮いた5000万件の年金記録など,社会問題化した社会保険庁。公開資料を精読,検討すると,業務プロセスと情報通信システムの乖離(かいり),情報通信システムを利活用する上での組織風土の未熟さなど,様々な問題が浮かび上がってくる。この連載では,CRMの専門家である多田正行氏が公開資料や報道にもとづいて,社保庁問題を読み解きます。

【プロローグ】公開資料から浮かび上がる疑問

【Part1】年金制度を支える情報通信システムへの疑問
第1回 制度変更に揺さぶられるシステム開発・運用の枠組み
第2回 最終報告書に見る「宙に浮いた年金番号を生んだ」システムの不備
第3回 公開資料から見えないシステムと運用組織の実態
第4回 入力ミスは何故起きたか? 検証委報告書の甘すぎる勧告
第5回 監視等委員会で見つけたずさんなコンタクトセンター計画
第6回 ITガバナンスは社保庁改革における緊急の課題
第7回 再生会議で議論された年金機構の組織と要員

【緊急提言】年金記録問題を真摯に解決するためのアイディア

【Part2】年金記録の正確性確保に関する対策
第1回 課題はどうなったのか? 新システム導入時の課題と現行での課題
第2回 移行計画は? 100%記録補正は無理と判断されているが
第3回 業務単位と分担 最適化計画の内容を検証する
第4回 巨大システムのSLAはどうなっている
 

【Part3】スケジュールと予算見積もり
【Part4】新システムを引き継ぐ新組織の実態

■お知らせ
著者の多田正行氏が,2008年4月10日にご逝去されました。故人のご冥福をお祈りするとともに,連載の終了をお知らせします。ご愛読ありがとうございました。 [2008/04/16]

■多田 正行 (ただ まさゆき)

【プロフィール】
 CRM(顧客関係管理)分野で数々の経験を積んできたコンサルタント。1947年生まれ。著書は「売れるしくみづくり」(ダイヤモンド社),「コールセンター・マネジメント入門」(悠々社),「コトラーのマーケティング戦略」(PHP研究所)など。ITpro WatcherにCRM Watchdogを連載。