LLDPの仕組みを具体的に見ていこう。仕組みはシンプルで,LLDPに対応した機器が管理情報を定期的にマルチキャスト・アドレスあてに送信するだけである(図1)。送信者と受信者の間でリンクを確立することはなく,ただ一方的に送り付ける。情報を送信するタイミングはリンクアップと管理情報の変更時で,変更がなくてもあらかじめ設定した間隔で定期的に送信する。送信間隔は管理者が自由に設定できる製品が多く,IEEE 802.1ABの規格では推奨値を30秒おきとしている。

図1●LLDPの仕組み
図1●LLDPの仕組み
機器やポートの識別情報,情報の有効期間などをマルチキャスト・アドレスあてに定期的に送信する。送受信する情報はLLDP MIBと呼ぶデータベースで管理する仕組みになっている。
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 このように頻繁に情報を送信するため,ネットワーク機器の場合は「ポートごとに送信の許可/禁止を設定できるように実装されていることが多い」(エクストリーム ネットワークスの佐久間シニア・システムエンジニア)。一方,LANスイッチに接続するネットワーク端末側は,アバイアのIP電話機のように「LLDPを受信して接続先がサポートしていると分かったときだけ送信する」(CCD/AMSSD部門の橋村信輝リージョナルプロダクトマネージャ)という格好の実装もある。

 送受信する情報はLLDP MIBと呼ぶデータベースで管理する。LANスイッチを例に挙げると,ポート配下につながっている機器の種類や管理情報がLLDP MIBに格納されており,SNMPで取得できる。

 LLDPが扱う情報は,機器の識別情報(Chassis ID),ポートの識別情報(Port ID),有効期間(Time-To-Live)の三つが必須項目となっている。機器とポートの識別情報にはMACアドレスやIPアドレス,インタフェースの名称,ポート番号などが含まれており,LLDPを受信した機器は有効期間で指定された時間だけ情報を保持する。

送信情報は独自に拡張できる

 LLDPではほかの管理情報を任意に追加できる。扱う情報は基本項目と拡張項目で構成されており,拡張項目はIEEE 802.1ABの規格に準拠していれば,業界団体やベンダーが独自に定義できる(図2)。

図2●LLDPで扱える情報の種類
図2●LLDPで扱える情報の種類
IEEE 802.1ABでは必須項目のほか,オプション項目,IEEE 802.1/802.3関連項目が規定されている。項目は業界団体やベンダーが独自に定義することも可能で,業界団体が策定した項目としてはTIA(米国電気通信工業会)の「LLDP-MED」が有名。
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 IEEE 802.1ABではオプション項目として,ポートの概要(Port Description),システム名(System Name),機器名称やバージョン,搭載OS(System Description),機器の種別(System Capabilities),管理用アドレス(Management Address)の五つを規定している。

 拡張項目としては,IEEE 802.1(VLAN)とIEEE 802.3(LAN)関連の項目が規定されている。前者はVLANの利用状況やVLAN ID,後者はオート・ネゴシエーションリンク・アグリゲーションの利用状況などである。

 例えばオート・ネゴシエーションの利用状況は全2重や半2重といった通信モードや接続速度が分かるので,設定ミスを即座に検知できる。ただし,「LLDP自体には設定変更の仕組みがないので,設定ミスを修正するにはSNMPトラップで警告を出して管理者にアラートをあげるなどの仕組みが別途必要になる」(日本HPの久保プリセールステクニカルコンサルタント)。

設定の自動化を実現するLLDP-MED

 このほか,業界団体が定義した拡張項目としては,TIA(米国電気通信工業会)が2006年4月に策定した「LLDP-MED」(LLDP for media endpoint discovery)がある。LLDP-MEDでは端末の設定や管理を効率化するため,LLDP-MEDのサポートの有無,タグVLANの利用の有無,VLAN ID,ユーザーの位置情報,LLDPの電源供給の拡張情報,ファームウエア,シリアル番号,ベンダー名,モデル名といったインベントリ情報の項目を規定している。

 興味深い点としては,「LLDP-MED Fast Start」と呼ぶ自動設定向けの機能がある。設定情報の送信と動的な反映をサポートするために,一時的にLLDPの送信間隔を短くして1秒にするのだ。「LLDPは相手が情報を受け取ったかどうかを確認する仕組みがない。そこでLLDPの情報を1秒間隔で送ることで,設定を確実にする。Fast Startで情報を連続送信する回数は管理者が自由に設定できる」(エクストリーム ネットワークスの井戸直樹・日本法人代表取締役社長兼米国本社副社長)。