携帯電話/PHS事業者の中で,いち早く定額制の料金プランを取り入れたのがウィルコムである。月額2900円でPHS同士の通話が24時間無料となる「ウィルコム定額プラン」を軸に,割引サービスを組み合わせることで料金を抑えることができる。

定額基本料は1900円まで下がる

図1●ウィルコムの料金プランと割引サービス
図1●ウィルコムの料金プランと割引サービス
主に音声に関する料金プラン/サービスを取り上げた。
[画像のクリックで拡大表示]

 ウィルコム定額プランの基本料は月額2900円。だが「実際の法人ユーザーは月額2200円や1900円で利用している場合が多い」(ウィルコム)という。これはウィルコム定額プランに,割引サービスを組み合わせているからである(図1)。

 回線数に応じて基本料を割り引くサービスが「法人割引」である。3回線以上の法人契約をしていれば,月額基本料は2200円になる。さらに医療福祉機関の場合は月額基本料が2000円となる。医療機関の中には,携帯が発する電磁波が医療機器に与える影響を懸念して院内の携帯電話使用を控えるところが多い。医療福祉機関向けの専用割引サービスは,「低電磁波」をうたうPHSならではのサービスといえる。

 無料通話できる時間帯を制限することで基本料を割り引くサービスが「ウィルコムビジネスタイム定額トリプルプラン」である。ウィルコム定額プランは,ソフトバンクモバイルの定額プランであるホワイトプランと異なり,無料通話できる時間帯に制限がない利点がある。とはいえ,一般的な企業の業務時間を考えると,法人向けには必ずしも24時間対応である必要はない。

 そこでウィルコムビジネスタイム定額トリプルプランでは,一般ユーザーの通話がピークとなる21時から1時を無料通話の対象時間帯から除いた。対象外の時間帯と固定・携帯あての通話料は30秒10円である。このプランはソフトバンクのホワイトプランに通話料割引サービスである「Wホワイト」を加えた場合よりも割安となる。

 なお,ウィルコムでは定額プラン以外の料金プランも選ぶことができる。無料通話分の多寡によって基本料が異なる点は,NTTドコモやKDDIの料金プランと同じである。組み合わせることができる割引サービスは,ウィルコム定額プランと異なる。長期契約や回線数に応じて基本料や通話料を割り引くサービスを組み合わせることができる。

企業の固定電話-PHS間を定額化

 現在ウィルコムは,携帯電話事業者の矢継ぎ早の割引サービス投入などに押され,新規加入数が伸び悩んでいる。そんな中ウィルコムは,法人ユーザーの通信料金にインパクトを与えそうな「W-VPN」と呼ぶサービスを9月に発表した。W-VPNは,PHSと企業の固定電話間の定額サービスである。ウィルコム定額プランやウィルコムビジネスタイム定額トリプルプランを契約している法人ユーザーが対象となる。代表電話の着信などで,まだまだ固定電話が業務上重要な法人ユーザーにとって,トータルの通信料金の削減が期待できる

 W-VPNは,企業内に設置したPBX(構内交換機)とウィルコムのIP対応交換機(ITX)をBRI(基本インタフェース)で接続する。この接続のための回線料金として,別途「専用回線利用料」が月額5250円かかる。この専用回線は1年間の継続利用が条件となっており,1年未満の解約の場合は残月分の専用回線利用料を支払わなければならない。そのほか,「W-VPN内線オプション利用料」がPHS1回線に付き月額315円発生する。

 こうした対応をすることで企業の内線電話とPHS間の通話料は定額となる。オフィスの内線電話から社外で使われているPHSに対しては,内線番号を使って通話することができるようになる。ただし,このW-VPNに対応するPHS端末は10月17日現在「WX220J-Z」の1機種だけ。今後「Windows Mobileを搭載する端末なども対応機種に加える予定」(ウィルコム)だという。また,PBX側の対応も必要である。対応機種については順次同社のWebサイトなどで公開していくとしている。

割賦販売導入はソフトバンクに次いで2番手

 端末購入方法はPHSであっても基本的には携帯電話の場合と同じである。ただし,NTTドコモやKDDIと異なり,ウィルコムは端末の割賦販売も実施している。8月から開始した「ダブルバリューセレクト」が割賦販売に該当する。これは新規もしくは10カ月以上利用の機種変更の場合に選択できる購入方法である。

 ダブルバリューセレクトを選んだユーザーは端末を分割払いで購入するが(一括払いも可能),毎月の基本料や通話料・手数料の合計額から一定の金額が割り引かれる。そのため,ユーザーにとっては実質的に販売補助金が付いた安価な端末を購入した場合と同じ効果が得られる。この販売手法はソフトバンクモバイルの新スーパーボーナスとほぼ同じである。ソフトバンクモバイルによると割賦を選ぶ法人ユーザーは少ないというが,ウィルコムでは「法人ユーザーでも割賦を選ぶ場合が多い」という。