図1●ソフトバンクモバイルの料金プランと割引サービス
図1●ソフトバンクモバイルの料金プランと割引サービス
主に音声に関する料金プラン/サービスを取り上げた。
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 ソフトバンクモバイルが法人向け携帯電話市場で健闘している。そのきっかけとなったのが1月に発表された「ホワイトプラン」である。月額基本料が980円となる料金プランで,無料通話分の多寡によって複数の料金プランを用意しているNTTドコモやKDDIとは大きく異なる(図1)。

 ホワイトプランは月額基本料だけでなく,ソフトバンクモバイル同士の通話が1時から21時まで無料となる。そのため,企業ユーザーの一部は内線電話の代替として使っている例もあるという(参考記事)。また,従来よりも月額料金が割安になるとの期待感から「これまでNTTドコモとKDDIの2社しか呼ばなかった企業のコンペに呼ばれる機会があった」(ソフトバンクモバイル)。同社の契約者における法人と個人の比率は非公表だが,ホワイトプランの提供以降,法人ユーザーは増えているという。

割引サービスはシンプル,固定との割引もテスト中

 ホワイトプランと組み合わせる割引サービスが「Wホワイト(ダブルホワイト)」である。これは基本料以外に980円を別途支払うことで(合計月額1960円),他社の携帯電話あてや21時から1時までの30秒当たりの通話料を半額にするサービスである。30秒21円が30秒10.5円となる。なお,同社の携帯電話を利用する家族間の通話が24時間無料となる「ホワイト家族24」に相当する法人向けサービスは存在しない。

 ソフトバンクモバイルでは,ホワイトプラン以外にNTTドコモの料金体系に合わせたブループラン,KDDIの料金体系に合わせたオレンジプランを用意している。これらのプランを法人が採用した場合は,契約回線数に応じて基本料を割り引く「法人複数回線割引」や定額料を支払うことで毎月の利用金額に応じて通話料・通信料を割り引く「大口通話料割引」を組み合わせることができる。

 また,同社の正式サービスではないが,一部でテスト・マーケティングとして固定電話との割引サービスを試験提供している。ソフトバンクテレコムの直収電話サービス「おとくライン」やソフトバンクBBのIP電話サービスと,同社の携帯電話との通話が割安になるサービスである。正式サービス化は未定だが,固定電話を含めたトータルの通信料金を見直したい法人ユーザーには検討の価値がある。

割賦を受け入れる法人ユーザーは少ない

 ソフトバンクモバイルは,端末の販売手法として他社に先駆けて割賦販売を取り入れた。2006年10月から導入した「新スーパーボーナス」である。新スーパーボーナスは,端末を分割払いで購入できるようにするだけでなく,毎月の料金(基本料金や通話・通信料の合計)から一定額を割り引く点が特徴。この割引額は,事実上端末の販売補助金に相当するが,新スーパーボーナスは端末の販売価格を割り引くのではなく,基本料や通話・通信料の合計額を割り引く点がポイントである。理屈の上では,販売補助金を廃止し,通話料・通信料を値下げしたといえる手法である。

 新スーパーボーナスは主に個人ユーザーが対象となるが,法人でも利用できる。ただ同社によると「端末を分割払いで購入する点が,あまり法人ユーザーには受け入れられていない」という。実は同社の販売手法は,割賦販売だけではない。実際は二本立てになっており,個人向けにはあまり勧められていないが,同社は従来の販売補助金をベースにした販売手法も残している。一般に法人ユーザーが同社の端末を購入する場合は,従来からの販売補助金付きの手法で端末を購入することが多いという。