いまや業務に不可欠となった携帯電話。法人契約をした携帯電話を従業員に貸与する企業も増えてきた。その際,気になるのが携帯電話を紛失した際の情報漏えい防止策(関連記事)や,企業が支払う携帯電話の料金だ。

 携帯電話の料金(端末代金を除く)は,基本となる月額料金プランと各種割引サービスの組み合わせで決まる。基本となる料金プランは,無料通話分などによって複数の料金が存在する。この料金プランに基づいて通話料が発生する(無料通話分を除く)。割引サービスとはこの基本となる料金プランに,(1)契約期間,(2)回線数,(3)支払い総額などの条件を加えることで,基本料や通話料を割り引くものである。通信事業者ごとにその構成や重視するポイントが異なる。この連載記事では,各携帯電話/PHS事業者ごとに法人向けの料金割引サービスの特徴を解説する。

中小企業向け割引サービスを強化

図1●NTTドコモの料金プランと割引サービス
図1●NTTドコモの料金プランと割引サービス
主に音声に関する料金プラン/サービスを取り上げた。
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 ここ半年の間で割引サービスが様変わりしたのがNTTドコモである(図1)。特に変わったのは2~10回線といった少ない回線数のためのサービス。新しい割引サービスの追加や既存割引サービスの割引率改定などを実施した。6月1日から提供を開始した「オフィス割引」は,ベースとなる料金プランの月額基本料を一律25%割り引くサービスである。これに1年間の継続利用を約束した「(新)いちねん割引」を組み合わせることで,継続利用年数が11年目以降のユーザーは,月額基本料が最大50%割引となる。

 こうした割引サービスに加え,NTTドコモは9月21日から「オフィス割MAX50」の提供を開始した。先述のオフィス割引と(新)いちねん割引を組み合わせた際の最大割引率である50%がいきなり1年目から適用される割引サービスである。法人名義での契約であれば,回線数に関係なく基本料が50%割引される。回線数が少ない個人・零細事業者にも配慮した料金サービスとなっている。ただし,2年間の継続利用が条件である。この2年間という期間拘束がオフィス割引+(新)いちねん割引の組み合わせとの違いとなる。そのほか,オフィス割引は同一グループ内の通話料が割引になるが,オフィス割MAX50は通話料の割引がないという違いがある。

 オフィス割MAX50の契約期間中に途中解約する場合は,9975円の解約金が必要となる。既にオフィス割引+(新)いちねん割引で最大割引率が適用されているユーザーは,オフィス割MAX50の期間拘束よりも条件が緩い現状の契約を維持した方がよいだろう。

 中小企業向けの料金割引サービスとしては,6月に割引率を改定した「ビジネス割引」も用意している。6月の改定では,従来よりも少ない回線数の割引率をアップした。それまでは2~10回線までの基本料割引率は15%だったが,6月1日以降は20%となった。ただし先述のオフィス割MAX50の登場によって,少数回線の法人ユーザーにはビジネス割引のメリットはほとんどなくなった。期間拘束がない点が唯一のメリットとなる。ただし,1001回線以上のユーザーでかつ契約期間が長いユーザーは,ビジネス割引と(新)いちねん割引を組み合わせれば11年目以降は基本料が50%割引となる。この場合は既に最大割引率が適用されているため,オフィス割MAX50への変更は不要だ。

 回線数が多く,月額の支払い額が多いユーザーは「ビジネスセーバー」という割引サービスが使える可能性がある。一定期間の契約を前提に,企業が支払う基本料と通話・通信料を合算した月額利用額から,一定割合の金額を割り引くサービスである(関連記事)。