Microsoftは来年早々にも,Windows NT Server 6.0をリリースする予定である。同製品は,以前は「Longhorn Server」という呼び名だったが,現在ではWindows Server 2008として知られている。はたして同製品は,ユーザーを満足させられるだろうか?それは,同製品に何を求めるかによる。ユーザーは革命的な変化を求めているのだろうか,それとも若干の進化のみを求めているのだろうか?

 Windows Server 2008に関しては,マルクスやレーニン(革命主義者)よりも,ダーウィンやウォレス(進化論を支持した生物学者)のような考え方をしたほうがいいだろう。Windows Server 2008では,二つの旧製品(Windows Server 2003とWindows Server 2003 R2)と同様に,いくつかの根強い問題を解決する修正,さらにクールな新ツールと革新的な機能が提供される。しかし,Windows 2000 Serverにあった従来の概念を一新するような革新性は,Windows Server 2008にはない。したがって,この新しいOSは,比較的簡単に既存のWindowsサーバー環境に組み込むことができる。

 過去の姉妹製品には深刻な問題がいくつか存在した。残念なことに,Windows Server 2008でもこれらすべてに対するソリューションが提供されるわけではない(Windows 2003やWindows 2003 R2でもこれは同じだった)。Windows Server 2008には新しい技術がたくさん搭載されているが,ここでは2回にわたって,押さえておきたい主要なポイントを紹介する。

ポイント1:Vistaの利点を継承

 ユーザーが好むと好まざるとにかかわらず,Vista(Microsoftの最新デスクトップOS)のセキュリティはこれまでのWindowsの中で最も強固である。Windows Server 2008はVistaのコード・ベースの上に構築されるため,Vistaのセキュリティ機能を継承することになる。さらに,Windows Server 2008はVistaの高度な機能も利用できるのだ。

ポイント2:64ビット - 真打の登場

 Windows Server 2008における最も広範な変化は,おそらくアーキテクチャの変化だろう。つまり,32ビットから64ビットになったことだ。現在では,64ビットが標準的なプロセサ・アーキテクチャとみなされている。32ビットはレガシーそのものなのだ。Microsoftによると,Windows Server 2008は同社が32ビット・プロセサ版を提供する最後のサーバーOSになるそうである。

 それが良いことなのか,悪いことなのか,わからない人もいるかもしれない。筆者は,それは素晴らしいことだと筆者は思う。確かに,64ビットのコードは対応する32ビットのコードよりも若干大きくなる。しかし,AMD64/EM64Tチップ・アーキテクチャのおかげで,プログラムの低レベル・コーディングが簡単にできるようになっている。つまり,開発者がバグのない安定したコードを記述する可能性が高くなるのだ。

 さらに素晴らしいことに,64ビットのアーキテクチャは,私たちを4GBのアドレス空間という縛りから解放してくれる。それにより,Windowsで最大16TBの仮想メモリーをサポートすることが可能になっているのだ。Windows Server 2008のデスクトップ版とも言える「64-bit Vista Ultimate」をデスクトップにロードすると,アプリケーションを実行する前でも,Windowsタスク・マネージャに表示されるWindowsのメモリー使用量が1.08GBに達することを考えると,4GBという制限を打ち破ることは名案であるように思える。さらに,Exchange Server 2007ではすでに64ビットが必要なことを考慮すると,Windows Server 2008が64ビットに重きを置いているのは,それほど意外なことではないのかもしれない。