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失敗しない成果主義人事

第4回 給与体系改訂で忘れるべきでない 業績に応じて変える昇給率の設定

2007/10/25
出典:日経ソリューションビジネス 2004年2月29日号88ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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成果主義人事制度の導入を難しくしている要因に給与体系の改訂がある。社員一人ひとりの成果・業績に応じた給与を支給するとともに、会社の業績に応じて昇給率をコントロールできるような仕組みを導入することも大切になる。今回は、給与体系を設計する際の勘所を紹介する。

 成果主義人事に基づいた給与体系を設計する基本的な手順を紹介しましょう。給与体系の設計と聞くと、難しいと思われるかもしれませんが、あまり深刻に考える必要はないでしょう。皆さんの会社にも、基本給の決め方や諸手当などが既にあるはずです。この給与体系の中で、仕事の成果・業績と関連性の低い項目を見直していけばよいのです。

 給与体系の中で、年功的な要素が強い年齢給や勤続給のほか、家族手当や住宅手当といった生活関連手当があれば、廃止や縮小する方向で検討します。その場合、減額した分は他の給与項目に組み込むなどの措置を講じることが大切です。とはいえ、年功的要素や生活関連手当がすべて廃止すべきものだというわけではありません。それぞれの役割や効果があることも確かです。人事方針に照らし合わせて、残すほうがよいと判断したものに関しては存続すればよいのです。

最も障害になるのは残業代

 成果主義人事に基づいた給与体系を設計する際、最も障害となるのは残業代です。家族手当を廃止しても、法律上、問題は生じませんが、時間外勤務に対する割増賃金を支払わないと違法になります。ソフトウエア業界では長時間労働が慢性化しており、残業代も多額になっているのが現状です。残業代の支給はソフト会社の経営者にとって、最大の頭痛の種ではないでしょうか。

 さらに追い打ちをかけるのが、昨今の厳しい経営環境です。ソフトウエアの受注単価が下降傾向にありながら、顧客の要求は年々厳しくなっています。これまで以上に手間暇がかかるのですから、社員の労働時間は増える傾向にあります。

 売り上げがダウンしているなら、それ以上に人件費を短縮しなければ、収支のバランスを保てません。しかし、多くのソフト会社では労働時間が増大し、人件費が上昇しつつあります。では、どのような対策を講じればよいのでしょうか。

 月間の時間外勤務に上限を設定するといった方法もありますが、最も有効なのは勤務時間を本人の裁量に委ねる「裁量労働制」を技術者に導入することです。裁量労働制によって、労働時間と賃金の支払額を切り離せます。残業した時間に対して賃金を支払うのではなく、残業して生み出した成果に対して支払うという給与体系に切り替えるわけです。

 また、役職手当や営業手当を一定期間の成果・業績と連動させることによって、業績手当化する方法も効果的です。図1をご覧ください。役職手当を前年度の業績評価によって決定する方式を導入しています。部長の場合、標準であるA評価であれば9万円ですが、最高のS+評価で12万円、最低のC評価では6万円となっています。したがって、同じ役職であっても、対象期間の評価によって支給する手当の金額を変えるわけです。

図1●役職手当の業績変動の一例
図1●役職手当の業績変動の一例

 このほか、資格手当を資格取得時に一時金として支給する資格奨励金に切り替えたりすることも検討すべきでしょう。図2は、ある会社の現行の給与項目と新給与項目を比較したものです。新しい給与体系の導入を検討する際、ぜひ参考にしてください。

図2●現行の給与項目と新給与項目の一例
図2●現行の給与項目と新給与項目の一例

 給与の支払額を成果・業績と連動するように変える一方で、職務レベルごとの成果責任を明確にし、給与の下限と上限の設定も忘れるべきではありません。長年にわたって職能給制度を運用していると、人事制度が年功化します。毎年定期昇給を重ねていくうちに、年齢・勤続年数順の給与になってしまうのです。こうした事態を防ぐために、職務レベルごとの成果責任を明確にし、給与の下限と上限の幅を設定してください。昇進・昇格をしなくても給与の上昇は続くというのでは、努力して一段と高いレベルの職務にチャレンジしようという社員の意欲は高まりません。

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