概要
演算の中枢機構(CPUコア)を二つ搭載した「デュアルコアCPU」が普及してきた。そこで,デュアルコアCPUとシングルコアCPUの処理能力を,Web/APサーバー用途で比較してみた。結果,デュアルコアCPUが35ポイント以上,処理能力で上回った。デュアルコアCPUの処理能力を,仕組みと併せて解説する。

 最近のサーバー向けCPUの大半は,演算の中枢機構(CPUコア)を二つ搭載した「デュアルコアCPU」である。これまでCPUベンダーは,クロック周波数の向上による高速化でしのぎを削ってきた。ところがここ数年は,CPUコア数を増やす流れに変わった。2006年末から2007年には,CPUコアを四つ搭載した「クワッドコアCPU」も登場する予定で,マルチコアCPUの潮流は今後いっそう加速する。

 そこで,今号と次号の2号連続でデュアルコアCPUの性能を検証する。前編となる今回は,Web/AP(アプリケーション)サーバー用途でシングルコアCPUとデュアルコアCPUの実力を比較した。結論から言えば,デュアルコアCPU1基の処理能力は,シングルコアCPU1基と比べて35ポイント以上高くなった(図1)。もし,性能不足に悩むWeb/APサーバーがあるなら,シングルコアCPUをデュアルコアCPUに置き換えるだけで,性能が3割以上アップする可能性がある。

図1●デュアルコアCPUとシングルコアCPUの処理能力の差
図1●デュアルコアCPUとシングルコアCPUの処理能力の差
今回は,Web/APサーバー用途での実力を検証した。同時ユーザー数が2万人になると,シングルコアCPUの余剰処理能力は4.7%とほとんどないが,デュアルコアCPUには40%以上の余剰能力がある
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