「効果がでるかどうかは、試してみなければ分からない。技術はどんどん進歩している。今日できなかったことが、明日できるようになっているかもしれない」。メリーチョコレートカムパニーの原邦生社長は、「新しいことに挑戦することで、次のステップが見えてくる」と強調する。

 「贈答用か、自宅用か」といったチョコレート菓子の購買理由を探るために、1996年に携帯型POS(販売時点管理)端末を独自開発するなど、メリーチョコレートはITを活用した「見える化」に古くから取り組んでいる。大規模なシステムは日本IBMなどITベンダーに委託するものの、基本は7人のシステム部員がシステムの企画・開発を担当している。

 同社が今まさに挑戦しているのが、営業担当者の行動の「見える化」だ。「いつ、どこで、何をしていたか」を地図上に表示できるようにすることで、「営業担当者の配置に無駄がないか」「何分、取引先に滞在しているか」などを、リアルタイムに把握する(図1)。6月から試験導入を始め、この9月から関東エリアを担当する約70人の営業担当者を対象に本格運用する計画だ。

図1●メリーチョコレートは9月から営業担当者の行動を「見える化」
図1●メリーチョコレートは9月から営業担当者の行動を「見える化」
PHSの位置情報を使い、営業担当者の行動範囲を分析する
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 同システムでは、位置情報システムをSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供しているロケーション社のサービス「e-Location/EX」を採用。PHSの基地局情報を基に、位置情報を割り出すシステムである。利用料は10人当たり月額5000円。アイデアを実現するため、システム部員が安価なサービスを探し出した。

 「行動の“見える化”は、営業担当者の教育にも使える。位置情報を使えば、交通費精算も自動化できるかもしれない」(原社長)。同社の挑戦は、まだまだ続く。