■中小ソフトハウスの経営者・経営陣の皆様に成長の壁を突破する方法をお話する第12回目、最終回では、経営者が成長の壁を突破するために知っておくべき基本的な発想法についてお話します。
この経営塾では、第1回目からの一貫したテーマとして、年商3億円の壁を越えて10億円に至る成長ストーリーを皆様にご理解いただくことにありました。理念やビジョン、組織やビジネスモデルあり方まで、多岐渡るお話をしてきましたが、最終的にそれらを統括する経営者として持つべき考え方について最後はお話したいと思います。
そこで最終回は「成長の壁を突破する発想法」という内容についてお届けします。
伸びる経営者の「3要素+1」
年商3億円の壁を突破し、10億円を超える企業になるためには、何よりも経営者自身の心のあり方が重要になってきます。第1回目でもお話をしましたが、経営者が年商3億円でもういいと考えてしまうと、その時点で成長は止まってしまいます。
船井総研では、会社を成長させる、さらに自らも伸びていける経営者の資質を三つにまとめています。それは「素直・プラス発想・勉強好き」という要素です。
これらの言葉は一つ一つが深く、完璧に実現するのは困難なものですが、この三つの要素を意識して日々経営に励んでいる経営者は、確実に成長します。次に、船井総研の言葉の定義を挙げておきます。
素直・・・すべてをあるがままに受け入れる柔軟さ
プラス発想・・・過去オール善、他者オール肯定、あらゆるものに感謝し前向きに考える心
勉強好き・・・知らないことを追求し、吸収しようとする姿勢
ソフトハウスでも、やはり成長している企業の経営者は、この三つの要素をすべて意識していると感じます。ただ私は、この三つの要素を完璧に実践するためには、さらに一つの要素が表現できなければいけないと感じています。それは「謙虚」という要素です。
すべてをあるがままに受け入れるためには、自らの発想や考え方を端に寄せておくことが大切です。あらゆる物に感謝するためには、自分が今あるのは、他人に活かされているという思いが無くてはいけません。知らないことを追求するためには、知らないということを認める謙虚さが必要です。
伸び悩んでいるということ、壁にぶつかっているということは、今までの自分スタイルでは通用しないということなのです。それであれば、その壁を破っていくためには新たなスタイルを確立していくことが重要になるのです。
そこで他人の意見を聞きいれる自分なりの心の余裕を持つために、この「3要素+1」は欠かせないものなのです。
自助の念とイメージ化が重要
伸び悩んでいる時というのは、何か歯車が噛み合わずストレスを感じる状態になります。多くの経営者はその時、原因を外に求めます。しかし、原因を外に求める、いわゆる他責の状態を継続させると、人は受動的になり会社の歩みはより遅くなります。
例えば、外部環境要因によって経営が悪化することもあると思います。その時に外部環境の変化を恨み、その責任を外に持っている経営者は、そこで思考が停止してしまいます。
一方、成功している経営者は、基本的に自助の念を持っています。つまり、すべての原因は自分にあるという考え方が軸となっているのです。
その責任を自分に見出す経営者は、外部環境の変化を読み取れない会社の体質に意識を向け、その改善を実施し、次に同じ過ちを犯さないように対策を立てます。常に原因は自分達にあると考えると、物事はスピーディに動いていくものなのです。
最後に、年商10億円企業になるためには、経営者自身が絶対に実現するという強い決意と共に、10億円企業になるまでのイメージを明確に持っている必要があります。年商10億円までのストーリーを自分の中に持っておくことが大事なのです。
3年後、5年後に自分は年商10億円の企業に成長しているんだ、という強いイメージがあれば、常に意識は前に向いていきます。ところが、伸び悩んでいる経営者は、年商10億円は実現したいと考えていますが、それが実現できるイメージを持っていません。
こうなると、どんなに強く決意しても実行の段階で自信が揺らいでしまいます。年商10億円のための強い決意とイメージ化、ストーリー化、これが非常に重要です。
12回をかけて、成長の壁に対する対処法をお話してきました。伸び悩んでいるというのは、今までのモデルが通用しなくなったということです。この事実を謙虚に捉え、改善の一歩を踏み出してください。
改革をするのは、まずは経営者からです。経営者が気付き、変わろうと決めた時から会社は大きくその舵を切っていけます。変えようと思ったら、まずは自分から。その発想を持ち続けて下さい。またお会いできるのを楽しみにしております。
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