写真1 工場周辺の様子。食堂が並んでいます。
写真1 工場周辺の様子。食堂が並んでいます。
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 車載通信機器などを製造・販売するヨコオが、日本での成功体験をもとに中国でトヨタ流改善を始めたのは2006年。その中心人物である多胡 一男氏に、取り組みの詳細をほぼリアルタイムでメルマガに寄稿してもらった。1年前の話ではあるが、現地に改善活動を根づかせるためには何が課題となるのかなど、中国で改善に取り組もうとする企業にとっては大いに参考になるだろう(日経情報ストラテジー編集部)。

多胡 一男
東莞友華汽車配件有限公司(ヨコオの中国法人) OJT-Sプロジェクト 経理担当


 読者の皆さん、こんにちは。今回から「ものづくりカイゼン日記 in 中国」と題して、弊社中国工場の製造現場における職場改善活動展開のお話をさせて頂く株式会社ヨコオの多胡です。初回の今回は、日本からの移動とカイゼン日記の舞台となる弊社中国工場周辺の様子を紹介します。
(原文は2006年7月12日付け日経情報ストラテジー・メール)

 弊社は12年前、中国・東莞市(とんがんし)に工場を初めて開設。現在は中国で3工場を展開しています。東莞市は、中国南部に位置する広東省の首都・広州から香港方面へ車で1時間半ほどのところあります。今回の活動は中国に展開する3工場のうち、車載通信機器を生産する「東莞友華汽車配件有限公司」が舞台です。

――出発! 日本から中国へ
 自宅のある群馬県から成田空港までバスで移動します。この後のカイゼン活動展開でたびたび登場する武田くんと2人で、高崎駅4時50分発の直通バスで成田空港へ。約3時間の移動後、チェックインを済ませ、遅めの朝食。成田から広州までは直行便があり、以前の香港経由から比べると乗り継ぎが無く、楽な移動です。

――広州空港、到着
 広州空港は2年ほど前に開港し、土地が広い中国らしく広々とした造りの新空港。入国手続きを済ませ、空港ロビーで迎えのドライバーともすんなり会うことができ、ひと安心。一歩外に出ると湿度が高く、今にも雨が降り出しそうな中国特有の空模様で、ジワッと汗が出てきました。

――広州から東莞へ
 空港からの移動経路はほとんど高速道路利用ですが、数年前の出張時より乗用車の台数が増えている印象。車窓からの景色は、遠くどこまでも続く大地に、家並みが延々と続き、突然高層の建物が出現したりします。日本では見慣れない風景に、この国の発展のスピードを感じました。

――工場に到着
 工場に併設している寮に着くと、赴任中の仲間の出迎えを受け、武田くんと共に入寮しました。寮には現在、3工場への赴任者が暮らしています。荷物の整理もそこそこに、市内へ日用品の買出しに行きました。「あるものはある、ないものはない」が印象です。必要な物はそろうものの、機能は満たしていても色や質に難があります。中国らしいスーパーで一通り買い物をし、寮に戻ると午後9時を過ぎていました。改めて夕食に出かけ、海鮮料理と冷たいビールで移動の疲れを癒し、明日からの英気を養いました。

 今回は赴任の1日を書きましたが、次回以降カイゼン活動や生活の様子など伝えていきたいと思います。


多胡 一男(たご かずお)
1981年、株式会社ヨコオ(車載通信機器・無線通信機器などの製造・販売)入社。2006年6月より同社中国工場である東莞友華汽車配件有限公司にてOJT-Sプロジェクト 経理担当。ヨコオでは、人事部門にて、人事システム革新テーマ等に取り組む。その後、車載通信機器生産部門責任者に就任。2004年には韓国での合弁会社の製造立ち上げ責任者として駐在。2005年からはOJT-Sプロジェクト(トヨタ生産方式に基づく職場改善・人材育成プロジェクト)に参画し、製造現場のものづくりシステム改善に取り組み、現在同社中国工場への展開で奮闘している。同社のWebサイトはこちら