10月24日から3日間にわたって開催される日経BP社主催の専門イベント「IPコミュニケーション&モバイル 2007」(IPCM)には,IP電話や携帯電話をビジネス現場で活用するための最新のソリューションや製品/サービスが顔をそろえる。人と人とのコミュニケーションの利便性を高めることで,ビジネスパーソンのワークスタイルを革新。個人・組織の生産性を向上させ,企業全体の競争力を引き上げようというのが,ベンダー各社が共通に描いているシナリオである。

 展示会場内のブースでは,来場者が実際に端末などを操作できる体感型のデモンストレーションが数多く展開される予定。会場となる東京ビッグサイト(東京・有明)の会議棟では,ベンダー各社やユーザー企業,識者が登壇するセミナー解説やパネル・ディスカッションも多数開催される。

スマートフォンやデュアルモード携帯電話が勢ぞろい

 多くのベンダーが掲げる代表的なキーワードの一つが「ユニファイド・コミュニケーション」。電話,メール,インスタント・メッセージング(IM)などの各種コミュニケーション手段を連携させ,手軽に効果的に使い分けられるようにするシステムやサービスとして提供する。数年前に提唱された概念ではあるが,ここ1年ほどでスマートフォンを中心に無線LANにも対応した携帯電話が続々と登場した結果,携帯電話を社内の電話システムやアプリケーションと連携させるソリューションが目立つようになった。

 マイクロソフトは,ブース内にスマートフォン向けOS「Windows Mobile」の特設コーナーを設け,未発売の対応端末も含めて出展する予定。富士通は2008年第1四半期に発売するWindows Mobileケータイ「FOMA F1100」をデモ展示する。NTT東日本も,Windows Mobileケータイ「hTc Z」を用いた企業向けFMC(fixed mobile convergence)ソリューションの体験コーナーを設ける。

 一方,日本アバイアはノキア製スマートフォン向けソフト「Avaya one-X Mobile」を用いたFMCソリューションを実演する。無線LANにも対応したデュアル・モード携帯電話や,無線LAN専用の携帯型IP電話を用いた内線電話向けソリューションは,ほかにもNEC,シスコシステムズ,沖電気工業,日立製作所,ユニアデックス,メルー・ネットワークスなどが展示する予定である。各社のソリューションを横断的に見比べる絶好のチャンスとなる。

マイクロソフトは戦略製品「OCS 2007」を初披露

 電話などのコミュニケーション・システムとPCアプリケーションとの連携の観点で見逃せないのが,マイクロソフトの新サーバー・ソフト「Office Communications Server 2007」(略称OCS)。Officeアプリケーションを通じて得られるプレゼンス(在席情報)を活用したユニファイド・コミュニケーションの基盤ソフトという位置づけである。11月の発売に先駆け,一般向けには初披露の場となる。クライアント用ソフトの「Office Communicator 2007」「同 Mobile」や,パートナー会社が販売するUSBフォンなども登場するはずだ。NECは,OCSと自社のIP電話サーバー「UNIVERGE SV7000」を連携させたソリューションのデモを予定している。

 また,日立製作所も,IPテレフォニー・ソリューション「CommuniMax」を利用した在席管理ソリューションや,IP電話と連携できるコラボレーション(共同作業)支援ソフト「GroupMax Collaboration」など,コミュニケーションとアプリケーションとの連携を訴求する。東海ソフトは,各社SIP(session initiation protocol)サーバーと連携できる業務ソフト「名刺ファイリング・サーバーv3.0」を展示する。

法人向けケータイのセキュリティ対策も一望に

 携帯電話やノートPCを利用したモバイル・ソリューションに向けたセキュリティ対策も,個人情報保護や内部統制の観点から,ユーザー企業のニーズが大きく,ベンダー各社がソリューション提供に注力している分野である。

 NECは「アクティブ電話帳ソリューション」や「PC安心持ち出しソリューション」などを,富士通はUSBキーなどを用いた「パーソナルアクセスソリューション」を出展する。ユニバーサルロボットは,内蔵カメラで撮影した腕静脈の画像を認証に使うスマートフォン向けソフトを展示する。このほか,富士通は携帯電話向けの,日立製作所はオフィス向けの,通話録音システムを実演する見込みである。ともに内部統制向けのフォレンジック・ソリューションである。

 モバイル環境でのセキュリティ対策に関心がある人には,「日経コミュニケーション」が企画した主催者企画展示コーナー「法人向け携帯電話のセキュリティ・ハンズオン」も必見である。NTTドコモ,KDDI(au),ソフトバンクモバイル,ウィルコムと携帯電話/PHS事業者4社がそろって参加。スマートフォン・ベンダーであるノキア・ジャパンとそのソフトウエア子会社であるインテリシンク,「BlackBerry」ベンダーのリサーチ・イン・モーション・ジャパンも協力している。端末紛失時に情報漏えいを防ぐ各社のソリューションを,実機の操作やデモを通して横断的に一挙に体感・比較できる。

 主催者企画展示コーナーには,もう一つ企業向けの携帯電話料金のシミュレーション・コーナー「企業の携帯電話代はまだ下げられる?」も設けられる。法人向けの有力販売代理店であるMSコミュニケーションズ,兼松コミュニケーションズ,丸紅テレコムの協力を得て,ASP方式の料金管理サービスをデモ展示。コーナー奥の専用スペースで個別の相談にも応じる。

コンタクトセンター向けやテレビ/Web会議も充実

 日立の通話録音システム「Recware II」は,オフィスだけでなく,コンタクトセンター規模にも対応している。IP電話対応が始まったコンタクトセンターに向けたソリューションは,ほかにも日本アバイアやNTT東日本が展示を予定している。レーザーファイブはオープンソースのIP-PBX「Asterisk」向けのコールセンター機能拡張モジュールなどを実演。GNジャパンはBluetoothを利用したワイヤレス・ヘッドセットを出展する。

 ユニファイド・コミュニケーションのもう一つの大きなトレンドは,音声やメールなどに加えて,映像コミュニケーションの統合・連携である。この分野では,NEC,シスコシステムズ,富士通,マイクロソフト,沖電気工業,日立製作所などの大手ベンダーが,こぞってテレビ会議やWeb会議のシステムやサービスを展示する。画質・応答性・操作性などを,実際に見て・聞いて・触って確かめる場として重宝するはずだ。

 同じ会場内の隣接スペースで同時開催している「ビジュアル・コミュニケーション 2007」には,テレビ会議やWeb会議の専業ベンダーなどのデモ展示もある。高画質化や操作性の向上が急速に進んでいるテレビ会議/Web会議の有力製品ほぼすべてを一度に体感できる,またとない機会となる。