筆者:園田 誠=フリーライター/フリープログラマ

 今回からは応用編に入り,自分で服や帽子を作っていきます。ただ,その前には知っておくべきことがいくつもあります。第9回は自分で作った服や帽子などのファイルをアップロードするために必要なお金(リンデン・ドル)をどのように作るかを解説します。

アップロードはタダじゃない

 何かのオブジェクトを作成しようとすると,オブジェクトに貼り付けるテクスチャや動画/音声データ,アニメーション,ポーズなどをサーバーにアップロードする必要が出てきます。システムが元々持っているデータ以外はユーザーがアップロードすることで,初めて周りの人たちと共有(誰からも見れる)できるようにするわけです。

 ところが,アップロードは誰もが勝手に無制限にできるわけではなく,1回のアップロードごとに10リンデン・ドル(以後L$と略記します)が必要になります。つまり,セカンドライフでは全くの無償で物作りをすることは事実上不可能ということです。

 「どうしてファイルのアップロードに金が必要なのか」というご意見もあるでしょう。私たちがアップロードしたファイルはサーバー側で保管されることになりますので,サーバーのハードディスク利用料とでも考えてください。おそらく無料でのアップロードを可能とすると,とんでもない数のファイルがアップロードされることになり,サーバー・ディスクの増設が追いつかなくなるのでしょう。L$10というわずかな金額ながら,ちょっとした敷居を設けることでサーバー負荷を押さえ込んでいるのではないかと思います。

キャンプでL$を稼ぐ

 私たちは無料のベーシック・アカウントで開始しました。所持金はありません。では,どうやってL$を入手したらいいんでしょうか。

 L$は,例えばセカンドライフ内でアルバイト(「キャンプ」と呼ばれます)をすることで手に入ります(図1)。

図1●キャンプ(アルバイト)でL$を稼ぐ例   図1●キャンプ(アルバイト)でL$を稼ぐ例
ひたすら椅子に座ります。10分間座り続けると,L$1~3くらい稼げます。
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 キャンプそのものの内容は設置されたダンスパッドの上で踊ったり,キャンプ・チェアーと呼ばれる椅子に座り続けたりするもので,特に画面を見続けている必要はなく,放置できます。アバターが動いてしまうと,キャンプが中断することがあるので,キャンプ中は外見の変更などはできません。チャットはできますが,ほぼひたすら放置することになります。しかししばらくの間,何の操作もしないとアバターの頭上には「Away」と表示されます。中の人が席を外していることを他の人にもわかるようにという仕組みです。Away状態のままましばらく経つと自動でログアウトしてしまいます。ログアウトしてしまうとキャンプが続けられません。アバターを完全に放置しておくのはサーバー側の負荷も考えると好ましいことではありません。せめて画面は見ていてください。

 キャンプは運営会社であるリンデンラボが提供するものではなく,私たちと同じユーザーの誰かが設置している仕組みです。つまり個人が手持ちのL$をキャンパー(キャンプする人)に提供しているわけです。

 キャンプで稼げる額は10分でL$1~3といった極めて少額で,最大L$20までといった上限が設定されていることが多いようです。L$1/10分としてアップロード1回のために2時間弱のキャンプが必要です。有名どころのキャンプは取り合いになっていて空いていないこともよくあります。キャンプを探すには「検索」で「camp」あるいは「Dance pad」などの語句で検索するといいでしょう。

 キャンプの仕組みそのものは,どこかのユーザーが作ったスクリプトです。一定時間経過すると自分の所持金から何がしかの代価を払い,上限を設けるといった仕組み(スクリプト)です。こういうこともできるんだという例として,一度はキャンプを体験しておくのもいいでしょう。