シンクライアントを実現する方式は主に4種類あり,方式ごとに実装形態が異なる。分類のポイントは,「アプリケーションの処理を実行する場所」「アプリケーションの共有形態」「端末側が搭載するモジュール」──の3点である。

方式(1):サーバー・ベース

 歴史が長く,最もポピュラーなシンクライアントの実現法が「(1)サーバー・ベース」方式(図1)である。この方式では,アプリケーションの処理をサーバー側で実行し,サーバーから送られてくる画面データの再生成処理などを端末側で行う。アプリケーションはサーバーにインストールしておき,Windows Terminal ServicesやCitrix Presentation Serverなどの機能を利用して複数ユーザーで共有利用する。

図1●サーバー・ベース方式
図1●サーバー・ベース方式

 端末は,Windows XP Embeddedを格納したフラッシュ・メモリーを搭載し,Terminal ServiceクライアントやICAクライアントからサーバー上のアプリケーションを利用する形態が一般的だ。ネクストネットや三菱電機インフォメーションテクノロジーなど多くのベンダーが方式(1)に対応した端末を製品化している。

 難点は,端末側で画面データの再生成処理を行うため,3次元CADやストリーミングなど高速に画面が切り替わるアプリケーション処理を苦手とすること。また,一つのアプリケーションを複数ユーザーで共有利用するため,複数ユーザーによる同時利用を想定したアプリケーションでないと正常に動作しないケースがある。アプリケーション数が多いと動作検証や改修作業の手間が増大する