各シンクライアント方式の実装形態を理解したら,まずはユーザー要件にマッチした方式を選択しよう(図1)。残念ながら,すべての要件を満たす方式はない。実現方式を絞り込んだら,特徴や価格を考慮して端末を選ぶ。

図1●ユーザー要件に優先度を付けてシンクライアント方式を選択する
図1●ユーザー要件に優先度を付けてシンクライアント方式を選択する
「スケール・メリットを生かしたい」「既存のネットワーク環境を生かしたい」「アプリケーションの動作確認に時間が割けない」「端末上で高速な描画処理をしたい」といったユーザー要件をすべて満たすシンクライアント方式はない。方式を決める際には,要件の優先順位を決めておく必要がある
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頻繁に描き変わるアプリ特性を重視

 オンラインで外国為替取引サービスを提供している外為どっとコムは2006年4月,東京本社でシンクライアント端末を本格展開する。同社が導入を決めたのが,「(4)ネットワーク・ブート」方式であるデルの「ThinPC」だ。

 同社の業務の一つに,各銀行からストリーミングで配信される外為レートを見ながら,担当者がタイミングを見計らって売買を行う「カバー・セクション」業務がある(図2)。動的に変わるレートの表示にタイムラグが生じると,外為の売買業務に支障が出てしまう。そのため,シンクライアント方式や製品の選定時には,「通常のPCと同様の画面描画速度が実現できる点を最も重視した」(システム室 副部長 大嶋一彰氏)。

図2●画面の描画スピードを優先した外為どっとコム
図2●画面の描画スピードを優先した外為どっとコム
同社はシンクライアント方式を検討する際,通常のクライアントPCと遜色ない画面の描画速度を求め,ネットワーク・ブート方式の採用を決めた
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