図1●所狭しとおすすめ情報がならぶスゴイ地図のトップ画面
図1●所狭しとおすすめ情報がならぶスゴイ地図のトップ画面
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図2●画面中央が位置情報。右端の帯は縦スクロール可能な閲覧履歴のキャッシュ。画面下にあるサムネールは保存したキープした店舗情報
図2●画面中央が位置情報。右端の帯は縦スクロール可能な閲覧履歴のキャッシュ。画面下にあるサムネールは保存したキープした店舗情報
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 リクルートが運営する位置情報サービス「スゴイ地図」が,2007年10月1日発表の第51回グッドデザイン賞を受賞した。スゴイ地図はゼンリンデータコムの地図情報エンジン上に,リクルートが持つ店舗紹介などの地域情報を表示させるサービスだ。企画がリクルート,制作ディレクションとデザインはコスモインタラクティブが手がけている。

 位置情報といえばGoogleマップなどを連想するが,スゴイ地図はフルFlashコンテンツである(GoogleマップはAjax)。Flashらしくユーザー・インタフェースのデザインには様々な工夫を凝らしている。トップの画面はメモ用紙を切り貼りしたようなコンパクトな情報を一面に表示している(図1)。地図とキーワード検索ツールだけといったシンプルなサービスに比べるとかなりにぎやかだ。

 単にデザインが変わっているだけではない。各パーツにはおすすめのスポットや,「禁煙者にウレシイお店」など,テーマに沿ったお店紹介,おすすめのテーマなどがところ狭しと並ぶ。この「おすすめ」ぶりがスゴイ地図の真の特徴のようだ。

明確な目的を持たない利用者にも使える

 グッドデザイン賞公式サイトに掲載の「開発デザイナーの主張」には,「『明確な目的を持たない利用者』と『明確な目的を持った利用者』の相反する二つのニーズに応えるために表示する情報と機能の整理を行い快適に利用できるUIを設計しました。」とある。おすすめ情報を豊富に提供する目的は,明確な目的を持たない利用者にも,検索が楽しめるようにとの配慮なのだ。

 確かに他の位置情報サービスでは,どこで,何をしたいのかが検索操作の前に決まっていないと利用しにくい。それは目的の場所にどうやってたどり着くのかを知るためのサービスなのだから当然だ。しかし,夜に彼女をデートに誘いたいのだがどこへ行ったら良いのかわからない,などと行く場所については明確な考えが無いこともある。そんな時助けになるように,というのがこのサービスの主旨のようだ。このおすすめの内容は定期的に更新されている。まるでリクルートの情報誌さながらだ。もちろんキーワード検索機能もあるのでピンポイントでお店探しもできる。

 掲載している店舗などの情報は,リクルートが独自に収集したものも含め,その数は1000万件にも及ぶという。お勧めテーマやキーワード検索などから検出した店舗情報には,リクルートが運営する別の店舗情報サービス「ドコイク?」のレビュー投稿機能を使ってレビューの書き込みと反映ができる。おすすめテーマから絞り込んだ店舗情報を,さらにレビューを読みながら吟味できる仕組みだ。

情報をキープして吟味できる

 多数の情報を掲載していることに加え,操作の面でも「情報の吟味」を前提とした工夫を凝らしている。

 例えばトップの「おすすめテーマから検索」から「人気ラーメン店」を選ぶと「渋谷」「池袋」「赤坂」などスゴイ地図がおすすめする地域が出てくる。次に地域を選ぶと複数の店舗が地図上に「押しピン」として表示される。これを一つひとつクリックして内容を見ていくわけだが,次々と見た情報の履歴は,画面右端の詳細情報表示場所にキャッシュされる仕組みになっている。これで見た順番で再度情報が吟味できるのだ。また「とりあえずキープ」機能で情報をキープ箱に溜めることもできる(図2)。

ブラウザのバックボタンが使える

 フルFlashコンテンツでありながら,ブラウザのバックボタンが使える点も特徴だ。一般的な検索サービスと違い,トップからおすすめテーマをクリックして進むという,あたかもHTMLベースのコンテンツのような使い方ができるサービスのこと。つい地図画面からその一つ手前のおすすめ掲載ページへ戻りたくなることもある。普通のフルFlashコンテンツでバックボタンを押そうものなら,いきなりローディング画面からやり直しになるところだ。しかしスゴイ地図はちゃんと一つ前の画面を表示してくれた。企画だけでなく,操作性もやはりすごい地図であった。