新米:レイヤーで考えると通信が理解しやすくなるのはわかりました。でも,それぞれのレイヤーの具体的な機能って何ですか?
先輩:では,Webアクセスを例に,各レイヤーの機能を説明していこう。
1から5まであるレイヤーに割り当てられたネットワーク機能を理解する第一歩は,各レイヤーの関係する範囲を押さえることである。出発点となるパソコンには,レイヤー1~5のすべての機能が備わっている(図2-1)。
図2-1●それぞれのレイヤーの及ぶ範囲を実際のネットワークで見てみよう 図は,Webアクセス時に,パソコンから見たそれぞれのレイヤーが担当する範囲。 [画像のクリックで拡大表示] |
レイヤー1の役割は,データを信号にして流すこと。パソコンから見ると,直接ケーブルでつながっているLANスイッチまでがレイヤー1の範囲だ。
次のレイヤー2は,0と1からなるビット信号を一固まりのフレームにしてやりとりする。パソコンではおもにLANボードが処理を担当する。レイヤー2の及ぶ範囲は,フレームの届く範囲,つまり最寄りのルーターまでになる。
これより上のレイヤー3~5の機能は,ソフトウエアが担う。Webアクセスの場合,レイヤー3のプロトコルはIPで,レイヤー4はTCPだ。この二つの機能は,WindowsやUNIXなどのOSが搭載するTCP/IP処理ソフトが持っている。
レイヤー3の機能はあて先のコンピュータまでデータを送り届けること。つまり,パソコンからあて先のWebサーバーまでがレイヤー3の範囲になる。
レイヤー4~5は,完全にパソコンとWebサーバーだけの世界になる。レイヤー4はアプリケーションを区別したり,通信の品質を管理する。レイヤー5はアプリケーションに特有の通信機能を提供する。
では,次から,各レイヤーの役割を詳しく見ていこう。