写真●ソフトバンクIDCの梶川治彦氏
写真●ソフトバンクIDCの梶川治彦氏

 ソフトバンクIDCでは,ホスティング・サービス「シェアドホスティング ウェブ」のサーバー監視にオープンソースの「Nagios」を活用している。

 Nagiosはbig brotherやHobbitと同様,pingによるノード監視,HTTPやFTP,SMTP/POP3,DNS,Telnetなどのサービス監視の機能を持つ。Webブラウザを使って監視できる点,ノードやサービスの稼働状況が色分けされる点もHobbitなどと同じである(図1)。Nagiosを選んだ主な理由は,監視画面の見やすさと,仮想専用サーバー(VPS:virtual private server)監視の仕組みを作りやすかったことである。


図1●Nagiosの監視画面
図1●Nagiosの監視画面
サーバーの死活状況をはじめ,CPUやメモリーの使用率,各サービスの稼働状況などをWebブラウザから監視できる。写真はソフトバンクIDCの利用例。 [画像のクリックで拡大表示]

 同社のシェアドホスティング ウェブでは,米SWsoftのOS仮想化ソフト「Virtuozzo」を使い,ユーザーごとにVPSを割り当てて貸し出している。Nagiosの標準機能では個々のVPSの稼働状況は監視できないものの,「NRPE」という拡張ソフトを組み合わせれば必要な仕組みを実現できる。NRPEは監視対象サーバーで実行したコマンドの結果を,Nagiosで監視するための拡張ソフト。各VPSの負荷(loadaverage)やCPU使用率,ログ・メッセージなどを監視できる。監視対象は1台のサーバーでもVPSの数だけあり,「その数は数百」(技術本部システム部サーバプラットフォームグループの梶川治彦マネージャー)に達する。Nagiosはこのように監視対象が多い大規模環境でも使えるという。

 拡張ソフトは,ほかにも「PerfParse」を使っている。PerfParseは監視データをデータベースに格納し,グラフ化するソフト。サーバー負荷の増減傾向などを把握できる。

 さらに同社ではNagiosの設定情報を拡張ソフトの「NagiosQL 2005」を使ってデータベース(MySQL)で管理している。VPSが増えた際にNagiosの監視設定を自動的に追加する仕組みを作り込んだ。今後は監視サーバーの2重化に応用する予定だ(図2)。バックアップ・サーバーを用意し,本番の監視サーバーの障害時にMySQLから設定情報を読み込んで処理を引き継ぐ。設定情報はMySQLのレプリケーション機能で常に最新の状態を保持しておく考えだ。

図2●Nagiosの設定情報をデータベース化
図2●Nagiosの設定情報をデータベース化
ソフトバンクIDCは「NagiosQL 2005」と呼ぶ拡張ソフトを利用し,Nagiosの設定情報をMySQLに格納している。今後,MySQLのレプリケーション機能を使って監視サーバーを2重化する予定。 [画像のクリックで拡大表示]

URL:http://www.nagios.org/
ライセンス:GNU General Public License(GPL)
動作OS:Linux