Vimは,マルチプラットフォームでオープンソースのテキスト・エディタです。UNIXで古くから使われてきたテキスト・エディタ「vi」を基にしています。Vimの「m」は「IMproved(改良された)」の略です。Windows,Mac OS,各種UNIXなど,様々なOS上で動作します。

 もちろんテキスト・エディタですから,テキストを編集する基本的な機能そのものは,メモ帳(notepad.exe)や秀丸などの“普通の”テキスト・エディタとVimで大差ありません。違うのは操作性です。筆者は,長いソースコードや,サーバー・ソフトを設定するファイルを編集するとき,普段使っている秀丸ではなく,Vimかviをよく利用します。Vimは,これらの用途で使うのに極めて快適な操作性を備えているからです。一方でVim独自の操作方法は,慣れるまではわかりにくいものです。ひと通り操作方法を覚えないと,直感的な操作はできません。

 Vimに慣れたユーザーが,どのくらい素早くエディタ上の文字列を操作できるかを紹介しましょう。Vimの動作画面を見てください(図1)。サンプルの文字列として,「hello, world」を表示するC言語のコードを書いておきました。ここで,例えばprintfで始まる1行をコピーして,コピーした行の次行にペーストし,ペーストした2行目の「hello」の文字を「good-bye」に変えるケースを考えてみます。いわゆるコピー&ペーストして編集――です。カーソルはファイルの先頭,つまり1行目の一番左にあるとします。

 この操作,Vimでは,「2jyyp/he[Enter]dwigood-bye[Esc]」とキーボードを操作するだけで実現できます。続けて「: w」と打つと,ファイルを保存できます。さらに,検索,置換,外部コマンドの実行などの,エディタでよく利用する機能も,ホームポジションからほとんど指を離さずにキーボードだけで操作できます。覚えることは多くても,覚えれば覚えるほど速い操作ができるエディタです。

 詳しい操作方法を紹介すると誌面が尽きてしまうので,興味のある方は,Vimをインストールし,チュートリアルを実行してください。このチュートリアルは,操作を学ぶうえでも,Vim導入の価値があるかどうかを判断するうえでもオススメです。日本語化されたVimは,KoRoNさんのWebサイト KaoriYaからダウンロードできます。gvim.exeを起動した後,「:Tutorial」と入力してEnterキーを押せば,チュートリアルを実行できます。もし気に入った場合は,とても有用なソフトの一つになるはずです。

図1●VimのWindows版のうち,GUIで動作する「gvim」の動作画面
図1●VimのWindows版のうち,GUIで動作する「gvim」の動作画面。見た目は普通のテキスト・エディタである
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Vim
ジャンル:テキスト・エディタ
開発:オープンソース
URL:http://www.vim.org/