ハートフォード生命のCIOである保積弘康氏 |
変額年金保険の資産残高で1位のハートフォード生命(東京・港区)。変額年金保険とは、顧客から預かった保険料を保険会社が運用し、運用実績によって将来受け取る年金額が変動する年金保険商品。2002年10月に銀行の窓口で保険商品を販売できるようになってから注目されている金融商品である。同社は2000年12月に設立以来、資産残高を伸ばしてきた。
ハートフォード生命のIT(情報技術)部門を率いるのが、CIO(最高情報責任者)である保積弘康氏である。保積氏は、一般的な日本企業のCIOとは異なる経歴の持ち主である。
保積氏は、これまで様々な業種で情報部門に携わってきた。情報部門に携わる転機となったのが、化学会社のデュポン(東京・千代田)でERP(統合基幹業務)パッケージ導入に携わったときである。それまで財務本部にいたが、ERPを導入するために、東京だけでなく台湾や韓国などを3カ月から6カ月ごとに駐在した。このERP導入を機に、通信会社ボーダフォンの日本法人(現ソフトバンクモバイル)や医療系の企業など様々な業種の情報システム部門を渡り歩いてきた。「(金融業界は初めてだったが)分からないことは聞けば良い。戦略を考えて実行していくことはどの業種であっても同じ」だと保積氏は話す。
2006年8月にハートフォード生命のCIOとなった保積氏が目指すのは、基幹業務の効率化だ。その1つが、来年度に営業支援システムを刷新することである。並行して、営業担当者に携帯情報端末(ウィルコムのW-ZERO3)を配布する。新システムは、セールスフォース・ドットコムが提供するSaaS(Software as a Service)と呼ばれる形態のサービスを導入する予定だ。 営業担当者は、W-ZERO3に搭載しているウェブ・ブラウザを介して新システムにアクセスする。
現在の仕組みは、訪問内容や銀行・証券会社別の手数料といった情報は、バラバラのシステムで管理している。様々なデータベースに収納している情報を、BI(ビジネス・インテリジェンス)ソフトを利用して分析していた。営業担当者が操作するには敷居が高く、ビジネステクノロジー部に依頼することも少なくなかった。情報を一元管理する新システムでは、営業担当者自らが様々な切り口で情報を検索・加工できる。120人いるビジネステクノロジー部の負担が軽減されるので、業務改革に向けて企画立案する役割を担うことを目指している。「競合他社が1~2年かかっても出来ないことを考えて実現させたい」と保積氏は意気込んでいる。
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■変更履歴 取材後に組織改革があったため、保積氏の所属を修正しました。 [2007/10/02 15:00] |