企業ユーザーがWindowsを使ううえで,知っているとちょっと役に立つ「Windowsの豆知識」を紹介するWindows談話室。第4回では,マイクロソフト製品を採用するかどうか検討する際に,製品版の機能や使い勝手をテストする便利な手法を紹介する。
Windows担当デスク(以下デスク):いよいよ,「Windows Server 2008」の製品候補版がリリースされたね(関連記事)。Windows Server 2008の導入を考えているユーザーは,きっとテストを始めているころだろう。でも,実際にWindows Server 2008を導入するなら,製品版でもテストをしたいところだね。マイクロソフト製品を,購入前にテストする方法はあるのかな?
Windows担当記者(以下記者):マイクロソフトは主な製品について「180日限定評価版」という,インストール後180日間だけ利用できる評価版を公開していますから,これをダウンロードすれば,無料で製品版をテストできます。
でも,様々な製品をテストするのであれば,開発者やシステム開発者向けに用意されている特別なライセンスを購入するのが便利だと思います。
デスク:そういえばマイクロソフトは昔から,開発者向けに「MSDN(Microsoft Developer Network)」というサービスを提供していたな。
記者:そうです。現在は「Visual Studio with MSDNサブスクリプション」という名称になっていますが,「MSDNサブスクリプション」という年間購読料型のサービスを購入すると,アプリケーション/システム開発目的であれば,既定のマイクロソフト製品を自由に使用できます。「180日限定評価版」のように,評価期間の制限もありません。
でも製品のテストだけが目的であれば,MSDNサブスクリプションよりも,もっと有利なサービスがあるのをご存じですか?
デスク:え?そうなのかい?
記者:マイクロソフトは現在,システム管理者向けに「TechNet Plusサブスクリプション」「TechNet Plus Directサブスクリプション」という有料情報サービスを提供しています。このサービスは元々,マイクロソフトが毎月公開している技術情報や,ソフトウエアの修正プログラム,ソフトウエアのベータ版などを,CD/DVD-ROMの形でユーザーに郵送するサービスだったのですが,2005年から「製品版」のソフトウエアを自由に評価できるサービスが加わりました。
つまり,TechNet Plusサブスクリプションを購入すれば,システム管理者はほぼすべてのマイクロソフト製品を,自由にテストできるのです。評価期間の制限もありませんし,インストールしたソフトウエアのアクティベーションすら可能です。
ちなみにTechNet Plus Directサブスクリプションは,CD/DVD-ROMが郵送されない代わりに,全てのコンテンツがマイクロソフトの会員制Webサイトからダウンロードできるというサービスです。会員制Webサイトからのダウンロード・サービスは,TechNet Plusサブスクリプションでも行われていますが,TechNet Plus DirectサブスクリプションはWeb限定の低価格サービスという位置付けになります。
このTechNet Plusサブスクリプションと,TechNet Plus Directサブスクリプションの特徴は,MSDNサブスクリプションと比べて圧倒的に安価なことです。どれぐらい安いのか,表にまとめてみました。
まず表1は,各購読型サービスに含まれる「評価用ソフトウエア」の内容です。TechNet Plusサブスクリプションで評価できるソフトウエアの種類は,MSDNサブスクリプションの最上位版である「Premium」に匹敵します。
表1●各種サブスクリプション・サービスに含まれる内容
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そして表2が,各購読型サービスの価格です。MSDNサブスクリプションの場合,初回購入料金と更新料が別になっていますが,TechNet Plusサブスクリプションは,すべて1年当たりの購読料になります。特に注目してほしいのは,「TechNet Plus Directサブスクリプション」です。前述のようにWeb限定のサービスになりますが,価格は1年当たりわずか3万9000円です。
表2●各種サブスクリプション・サービスの価格(パッケージ版)
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デスク:つまり,3万9000円払えば,マイクロソフトの全製品がテストし放題ということなのか?
記者:その通りです。でも,1点だけ注意点があります。それは,MSDNサブスクリプションで認められているのが「開発者ライセンス」であるのに対して,TechNet Plusサブスクリプションで認められているのが,あくまで「評価」だけということです。
マイクロソフトはMSDNサブスクリプションで提供するソフトウエアについて,「開発,設計,構築,テスト,デモンストレーションの用途を条件に,1つのライセンスで,1人のユーザーが複数のコンピュータにインストールして使用できます」と定めています。また,MSDNサブスクリプションの「Premium」に含まれる「Microsoft Office」は,サブスクリプションを購入した開発者が,業務用に使って良いことになっています。
それに対してTechNet Plusサブスクリプションで認められているのは「評価」だけです。開発に使うのであれば,MSDNサブスクリプションを購入するのが妥当でしょう。
デスク:でも,TechNet Plusサブスクリプションで提供される「評価版ソフトウエア」は,実際には製品版そのものなのだろう?
記者:実はそうです。TechNet Plusサブスクリプションで入手したソフトウエアは,実際にアクティベーションも可能です。といいますか,1つのインストール・キーで,最大10台のマシンをアクティベーションできます。
デスク:ということは,実際にはTechNet Plusサブスクリプションを買えば,ほとんどのマイクロソフト製品が使い放題なのじゃないかい?
記者:禁則事項(ライセンス違反)です。
デスク:どこかで聞いたことのあるセリフを…。
記者:ゴホン,ゴホン。ライセンス違反といっても,マイクロソフトのFAQサイトにも「Q.評価用ソフトウエアを自宅で使用することはできますか?」「A.(よくある質問です)はい。1 名のユーザーが評価目的のためにユーザー所有の各デバイスにインストールを行なうことができます」と書かれているほどですから,条件はかなり緩めです。このサービスを使って,色んなソフトウエアを積極的に評価してほしいものですね。
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