ポイント
・「クラス図」「シーケンス図」などUMLの図同士の整合性を保つ機能を備える
・選択のポイントは「入力のしやすさ」といった作図機能の使い勝手
・チーム開発で効果を上げるには運用ルールが不可欠

 1年ほど前まで1本30万円近くした「Sun Java Studio Enterprise」が,今は無料──。このことに象徴されるように,UML(Unified Modeling Language)モデリング・ツール(以下,UMLツール)の低価格化は著しい。無償のツールに加え,「JUDE」や「Enterprise Architect」といった1本数万円の低価格ツールの機能が充実。日立システムアンドサービスのように「低価格なツールでも十分に実用的」(生産技術本部 主任技師英繁雄氏)と評価し,100本単位で大量導入するケースも少なくない。「UMLツールは,チームで利用する時代に入った」(UMLモデリングの利用動向に詳しい,日本総合研究所 次世代カードシステム事業本部 開発第二グループ マネジャー 細川努氏)と言える。

 UMLツールをチームで利用する効果は大きい。UMLモデリングでは,システム化の対象業務やシステムそのものを多角的に分析するため,ユースケース図やクラス図,アクティビティ図,シーケンス図など,いくつもの図を作成する注1。しかもそれらの図は,相互に密接に関係するため,整合性を保つ必要がある。一つの図を修正すれば,他の図の該当個所をすべて修正しなければならない。

 手作業ではカバーし難いこの問題を,UMLツールが解決する。一般的な描画ツールとは違って,複数の図の整合性を取りながら効率的に作成するための機能を備えているのだ。

 今回は,主要なUMLツールを取り上げ,基本的な機能,製品選択のポイント,チーム利用の方法を紹介する(表1)。

表1●主なUMLモデリング・ツール
表1●主なUMLモデリング・ツール
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