ネットワークでデータをやりとりするしくみを理解しようと思ったとき,最初につまづくのが,イーサネットとIPの関係だ。

 例えば,イーサネットはMACアドレスを使い,IPはIPアドレスを使って通信することは知っている。でも,社内LANでの実際の場面を考えたとき,これらのアドレスがどのように使われているのかがわからなくなってしまう。こうした悩みを持っている人は多いのではないだろうか。

 この理由は,イーサネットとIPはそれぞれ独立した機能でありながら,実際の通信にはこの両者の連係動作が絡んでくるためだ。この連係のしくみを押さえておかないと,イーサネットとIPの正しい関係が見えてこないのだ。

 イーサネットとIPの連係において最も重要なポイントが,両アドレスの対応付けである。MACアドレスとIPアドレスをどうやって対応付けて通信しているかがわかると,イーサネットとIPの関係が見えて,通信の実際がわかってくる。

 そこで今回は,MACアドレスとIPアドレスの対応付けのしくみに注目する。これをマスターするのが目標だ。

四つのLessonで学ぶ

 この記事では,MACアドレスとIPアドレスの対応付けのしくみを学んでいくにあたって,トピックを四つのLessonに分けた。すべてのLessonは見開きで完結するようになっていて,大きな図が配置してある。「図解で学ぶ」というタイトルにあるように,図を見ればそのLessonで理解すべきポイントが学べるようになっている。

 Lesson1では,MACアドレスとIPアドレスを対応付ける場面が,どんな場面なのかを確認する。ここで登場するのが,今回の話の主人公ARP(ア ープ)(address resolutionprotocol)である。ARPの必要性を理解しよう。

 Lesson2では,ARPの動作を見ていく。ARPの仕事は,特定のIPアドレスを持ったマシンのMACアドレスを調べること。それがどのように実行されるのかを学ぶ。

 Lesson3では,ARPがどのような情報をやりとりしているのかを見る。ここでは,ARPが,データの運び屋であるイーサネットとどのように連係して,Lesson2に書かれたARPの動作を実現しているのかを知ろう。

 Lesson4では,社内LANなど実際の通信で,どのようにARPが使われているのかを確認する。通信の流れの実際が見えてくるはずだ。

最後にテストで確認しよう

 最後に,各Lessonで学んだ知識を確認するための修了テストにチャレンジしよう。左ページが問題で,右ページが解答になっているので,挑戦する人は右ページを隠して取り組んでほしい。知識に自信のある人は,この修了テストから始めてみるのもいいだろう。最後の解答ページは全体のまとめ解説にもなっているので,復習するときは,このページが要点のチェックに役立つだろう。