Webブラウザさえあれば無料で利用できる、Webオフィス・ソフトが活気づいてきた。ソースネクストが5月14日、「ThinkFreeてがるオフィス」のベータ・サービスを開始。グーグルは9月、ワープロと表計算サービスにプレゼンテーション機能を追加する。

 ソースネクストのThinkFreeてがるオフィスは、Javaアプレットをブラウザ上にダウンロードして動作する。起動時にソースネクストが運営する Webサイトにログインして利用する。韓国企業ThinkFreeが開発した。一方のGoogle Docs & Spreadsheets(D&S)はAjax技術を使ったもの。米グーグルが2006年10月にサービスを開始した。

 どちらのサービスも作成した文書ファイルは、ThinkFreeやグーグルが運営するサーバーに保存する。最新版のOffice 2007には未対応だが、マイクロソフトのオフィス・ソフトのファイルを読み書きできる。

 インターネットに接続して利用するサービスなので、社内外を問わず、複数の利用者がファイルを編集可能だ。ThinkFreeでは一度に1人しか編集できないが、Google D&Sは、同時に複数人が文書を編集できる。編集内容は、各メンバーのパソコンにリアルタイムに反映される。

 主な利用分野には、企画書をチームでレビューしたり、社外の協力会社とのプロジェクトで進捗管理や仕様書を共有したりといった、複数の利用者で頻繁にファイルを更新する作業が考えられる。ファイル・サーバーや既存のグループウエアでは、これらの作業の効率を上げるのが難しかった。

 ThinkFreeもGoogle D&Sも、ネットを介して利用するため、ファイルの保存や読み出しに時間がかかることがある。「ThinkFreeは年内にも、オフラインでも利用できるよう機能拡張を図る」(ソースネクスト経営企画室の小嶋智彰 執行役員)という。 

 無料サービスだが、オフィス・ソフトとしての機能も強化している。グーグルはGoogle D&Sの継続的改善に加え、07年9月にはプレゼンテーション機能を追加。ThinkFreeは、基本的な文書作成に関して、Word 2003やExcel 2003と同等な機能を備える。メニューの種類や並び方、アイコンの形も、Office 2003とほぼ同じだ()。

ソースネクストの「ThinkFreeてがるオフィス」の画面例
Word 2003やExcel 2003に見劣りしない機能ながら、Webブラウザから無料で利用できる[画像のクリックで拡大表示]

 ワープロでは、文章の書式設定や整形、図や表の挿入はもちろん、文章校正機能も備える。表計算に関しても、ピボットテーブルを作成できない、マクロを利用できないといった点を除けば、機能面で大きな差はない。

 ソースネクストの小嶋執行役員は、「ユーザー・インタフェースがマイクロソフトOfficeに近いので、多くの人に抵抗なく利用してもらえるのではないか。まずは個人の利用者を増やして慣れてもらい、仕事の場面でも徐々に使ってもらえるようにする」と話す。同社は2008年9月までに100万人の利用者獲得を目指す。