「ソーシャル・メディア」という言葉がある。人々が意見や考え、経験などをインターネット上に公開し、大勢で共有する仕組みのことという。日本でも話題になっている、仮想世界のセカンドライフ、グーグルの傘下にある動画共有のユーチューブなどが典型例だ。もちろん、ミクシィを代表例とするSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)も、ソーシャル・メディアである。

 こうした新しいメディアは、若者を中心にあっという間に広がり、多くの利用者を獲得する。新聞や雑誌など従来メディアは、周回遅れで報道することになるが、ごく普通のビジネスパーソンからすると、次から次へと英語やカタカナ表記の新しいソーシャル・メディアが登場するように見える。

 今回の表題に挙げた「Twitter、リアルタイム日記、プロフ」はいずれもソーシャル・メディアの仲間である。共通点は一見すると「何が面白いのか」「なんのために利用するのか」が分かりにくいということだ。

 ジャーナリストの小林雅一氏は、Twitterやリアルタイム日記を取り上げ、一見すると「不可解と思われるほど意味のない書き込みの連続」と評している(「爆発的広がりを見せるソーシャル・メディア(前編):中身の無いコミュニケーションがなぜ若者に広がっているのか?」)。小林氏のコラムから、Twitterを説明した下りを紹介する。


 Twitterをパソコンから使う場合,ディスプレイ上に表示される「What are you doing?」というプロンプトに対し,ユーザーが1,2行の短い返答をすると,それがユーザー自身のTwitterサイトに反映される。それらは,たとえば「今,起きた。まだ眠い」「これから残業だ」など,ほとんどが平凡な日常の記録である。Twitterのユーザーは,1日にかなりの頻度(時には数分,数秒間隔)でこれをやっている。(中略)。Twitterでは,こうした短い書き込みを,携帯電話やBlackberryなどの携帯端末から,SMS(Short Message Service)を使って行うこともできる。これと同時に,Twitterサイトへの書き込みは,いっせいに自分の友達の端末にも配信される。このように親しいサークルの内部で,Twitterへの書き込みを互いに見合うことで,今この瞬間に,各人が何をやっているか,どんな状況にあるかを知ることができるのだ。

 実は、テクノロジー・リーダー向けWebサイトであるEnterprise Platform の編集メンバーが集まったとき、記者同士の情報共有にTwitterが使えないかどうか検討したことがある(関連記事「会社の会議室で会えない」)。結論から言うと、Twitterは使わなかった。編集会議のような仕事に使おうとしたのがまずかったのかもしれないが、そもそも筆者はTwitterが米国で受けている理由が分からなかった。「米国で凄い人気らしいので使ってみましょう」と進言してきた若手記者も、しばらく利用した後で、「僕もどこが面白いのかさっぱり分かりません」と言ってきた。