PHPユーザ会が開催する日本最大級のPHPイベント[「PHPカンファレンス2007」が2007年9月1日,開催された。今回のPHPウォッチでは,カンファレンスで行われた講演内容を基に,最近のPHPの動向について紹介する。

PHPカンファレンスとは

PHPカンファレンス2007会場
 東京都大田区の産業プラザにてPHPカンファレンス2007が開催された。同カンファレンスは,毎年夏に開催され,日本PHPユーザ会を中心とする有志によりボランティア・ベースで運営されている。8回を迎えた今年のPHPカンファレンスでは,350名を越える来場者が参加し,その後続いて行われた懇親会にも100名を超える参加があるなど,大きな賑わいを見せた。

 プログラムはPHPの現状と今後の動向を解説する基調講演「PHPの今とこれから2007」から始まり,大規模サイトの構築ノウハウや,注目フレームワークの紹介などが行われた。

 また,今年のカンファレンスでは,Yahoo!におけるPHPの事例紹介や,「ビジネス側面から語るPHP」と題したパネルディスカッションが行われるなど,技術テクニックの紹介だけでなく,幅広い観点からPHPを把握できるようプログラムが用意された。

PHP4のサポート停止,PHP6の開発状況 ~ 基調講演「PHPのいまとこれから2007」

廣川類氏
 基調講演では,日本PHPユーザ会の廣川類氏がPHPの現状と今後の動向について解説した。

 まず,最近の大きな話題として,PHP4のサポート停止に関して言及した。開発コミュニティが今年7月に発表した通り,PHP4系のリリースはPHP4.4で終了し,バグFIXなどの重要なセキュリティパッチに関しても2008年8月8日をもって提供が終了される。これは,PHP5への以降を促進しPHP5および次期バージョンであるPHP6の開発に注力するためである。

 Nexen Serviceの調査では,現状PHPシステム全体のうち75%程度がPHP4で稼働していると報告されている。これらPHP4で動作するシステムは,サポート終了前にPHP5にアップグレードする必要がある。

 ただし,PHP4からPHP5への移行では,いくつかの機能について互換性が失われている。変更点はPHPマニュアルにまとめられているので,そちらを参照されたい。

 一方,PHP6の開発状況についての紹介もあった。当初のスケジュールよりリリースが遅れているPHP6だが,廣川氏の講演では最大の改良となるUnicode対応についての解説が行われた。

 Unicode対応での大きな変更は,PHPの文字列にリテラルという概念が生まれることである。これにより,

  • Unicodeによる正規表現
  • エンコーディング変換
  • ロケールの対応(数値や日付など)
  • Transliteration(文字の音訳)のサポート
 などの機能が実装される予定である。

 他にも,PHP6では以下のような機能が変更されている。

  • Register Globals,セーフモード,Zend Engine互換機能などの排除
  • APC,fileinfo等のエクステンションの標準装備
  • MySQL ND(MySQL Native Driver)エクステンションの追加
  • 名前空間,ガーベッジコレクタなどの機能追加・改良

 PHP6のリリースの遅れを受け,PHP6で実装することを予定していたUnicode対応以外の機能を,先行してPHP5.3に実装してリリースすることが検討されている。リリース時期については,現在のところ2008年1月にベータ版をリリースすることが予定されている。