筆者:園田 誠=フリーライター/フリープログラマ
セカンドライフの世界は多国籍仮想社会です。当然プレイヤーが住む各国で法律や文化の違いがあります。各国がゲーム内での言動をどう法的に規制するかは,温度差もあると思います。また,仮想社会の中でも,現実世界と似た問題は起こります。スパム・メールが大量に送られてくることもあり得ます。そうしたときにどうすべきかを,確認しておきましょう。
セカンドライフ内での“憲法”とは
セカンドライフには,憲法ともいうべきものがあり,これを「Big Six(ビッグ・シックス)」と呼びます。Big Sixが禁じている行為は6項目です(図19)。
セカンドライフの世界にひとたび足を踏み入れたら,この6項目は遵守しなくてはなりません。セカンドライフの運営会社であるLinden Labは,セカンドライフ内でのプレイヤーの行動について,細かくチェックしたり規制するということはほとんどありません。
運営会社は“場を提供する者”であって“統治する者”ではないというスタンスのようです。しかし,ほとんどのケースで寛大なLinden Labも,Big Sixを守らないプレイヤーに対しては厳しく対応し,アカウント剥奪(BAN「バン」と言います)という強硬手段に出ることがあります。
Big Sixで挙げられていることは,おおよそ常識的なことばかりで,意識していないと守れないほどのものではありません。周りにいるアバターは,世界のどこかの人が操作しているわけで,感情を持っている(外見ではそうは見えないかもしれませんが)わけです。結局,Big Sixに当てはまらなければ何をしてもいいということではなく,「自分がされて不快だと思うことは人にするな」ということです。ゲーム内でいろいろと行動できるようになった今,Big Sixは絶対に守りましょう。
グループへの勧誘とスパム
時折,ログインするとグループの勧誘メッセージというのが届くことがあります。グループというのは,セカンドライフ内でのコミュニティ単位です。仲良し組みたいなイメージで捉えていてかまいません。
グループへの招待はメッセンジャのフレンド登録やMixiのマイミクみたいなもので,必ずしも承認する必要はありません。少なくてもゲーム開始直後にグループに誘ってくる手の人はスパムを送ろうとする手合いと判断していいでしょう。無差別招待してくる人の大半は日本人ではありません。加入してもコミュニケーションが取れるようなグループであることはまずないでしょう。ICQやSkypeなどでもそうですが,この手の無差別招待には本当に手を焼きます。
図20●グループへの招待メッセージの例 通常はグループに招待された直後に出ますが,ログアウトしている間に招待されたときはログイン直後に表示されます。心当たりがないグループへの招待は「Decline」で拒否できます。 |
セカンドライフでの生活を続けるうちに気の合った仲間が出来たら,その人たちのグループに入れてもらうなり,その人たちとグループを作ればいいと思います。グループに入っていないと何かができないという制約があるわけではないので,おおらかに考えていて問題ありません。
これだけマスコミの注目を集めていますが,いろいろと問題もありそうです。多くのマスコミがセカンドライフの紹介で,意図的に目を背けている部分にアダルト表現があります。実はセカンドライフの中では素っ裸で歩き回っているアバターもいます。
アダルト表現と暴力行為を規制した「Teen Second Life(ティーン・セカンドライフ)」という仮想世界も用意されています。登録時に18才未満のプレイヤーはティーン・セカンドライフ内でしかプレイできません。18歳を超えた段階でセカンドライフに移動し,ティーン・セカンドライフには戻れなくなります。この規制だけで未成年者を確実に分離できるかどうかも問題になってくるかもしれません。
閑話休題。
とりあえず以後の説明と図は日本語化したものを使用することにします。バージョンアップによって表記が変化していく可能性もありますので,実際の画面と差異がある場合は適宜読み替えてください。セカンドライフに限らず,ネットゲームというものはおよそ信じられないくらいにバージョンアップが頻繁です。半年ほどゲームから離れるとまるで別のゲームかと思うような変化が起こることも珍しくありません。だから攻略本の類もなかなか出版できません。この記事の賞味期間も3カ月程度ではないかと予想しています。
■変更履歴 2007年7月25日時点でカジノは全面禁止となっていたことが判明したため,記事公開当初は記述していた以下の一段落を削除しました。 [2007/10/07] 「また,人気のあるスポットとしてカジノもあります。ゲーム内通貨がUSドルに換金できてしまうので,これも国内法としては賭博開帳に相当するのではないかという危惧があります。」 |
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