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記者のつぶやき

ドコモのパソコン向け定額から透けて見える苦しい事情

榊原 康=日経コミュニケーション 2007/09/25 日経コミュニケーション

 NTTドコモが9月13日に発表したパソコン向けパケット定額プラン「定額データプランHIGH-SPEED」(関連記事)。携帯電話事業者で「全国網」を対象にパソコン向けの定額プランを導入するのは同社が初めて。ただ,サービス内容は中途半端なイメージがある。

料金にパンチ力なし,用途もメールやWebに制限

 まずは料金。パソコン向けの定額プランは「全国網」という条件が付かなければ,既にイー・モバイルが提供済み。同社の「EMモバイルブロードバンド」はNTTドコモと同じHSDPA(下り最大3.6Mビット/秒,上り最大384kビット/秒)の規格を利用して月額5980円の使い放題(データプラン・いちねんの場合,契約形態によっては月額4980円)である(注1)。

 これに対してNTTドコモの定額データプランHIGH-SPEEDは1カ月のデータ通信量に応じた2段階の定額制で,50万パケットまでは月額4200円の定額。50万パケット以上100万パケット未満は0.0126円/パケットの従量制で料金が加算され,100万パケット以上は1万500円の定額である。

 ここで言う「1パケット」のサイズは128バイトで,50万パケットは約61Mバイト,100万パケットは約122Mバイトに相当する。イー・モバイルが今年6月の発表会で明らかにした同社の1ユーザーの月間平均トラフィックは,全体で1.4Gバイト(関連記事)。同じ感覚で利用すれば1カ月の通信量が100万パケットを超えるのは確実で,これを踏まえると,NTTドコモの1万500円は高い印象を受ける。

 さらに利用できるアプリケーションに制限がある。大量のデータ通信による周波数のひっ迫を避けるため,網側で利用に制限をかけているのだ。利用できるのは原則としてメール(添付ファイルを含む)とWebだけ。Webもテキストと静止画,一部動画(Flash Video)だけが対象で,Windows MediaやRealMedia,QuickTimeなどの動画は閲覧できない。

 このほか,SkypeやWindows Live MessengerなどのVoIP(voice over IP)ソフトやインスタント・メッセンジャ,P2P(peer-to-peer)アプリケーション,オンライン・ゲーム,FTPも利用できない。NTTドコモによると,これらのアプリケーションが80番ポートで通信しても「利用できない」としており,ポート番号によるフィルタリングだけでなく,データの中身もある程度チェックしていると思われる。これでは「インターネット接続」とは言えないようなサービス仕様だ。

注1:NTTドコモと同様の2段階の定額制メニューもあり,その場合は月額3480円~6480円(データプラン・いちねんの場合,契約形態によっては月額2480円~5480円)

音声通話は別契約が必要,実質はデータ通信専用端末に

 NTTドコモは今回の定額データプランを「主に個人ユーザー向け」としているが,これらの点を総合すると,むしろ企業ユーザー向けだろう。アプリケーションの制限が問題となるのは主に個人ユーザーと思われ,月額1万500円という料金もハードルが高い。

 注意したいのは,月額1万500円に音声通話やiモードの料金は含まれていないこと。「パケ・ホーダイ」や「パケ・ホーダイフル」,「Biz・ホーダイ」といった通常の料金プランを契約しているユーザー向けの“割引サービス”と異なり,定額データプランはあくまでも“料金プラン”である。定額データプラン単体の契約では音声通話やiモードなどは利用できず,利用したい場合は端末を別に購入して音声の料金プランを別途契約する必要がある。

 定額データプランの対応機種には「N904i」「P903iX HIGH-SPEED」「F903iX HIGH-SPEED」「N902iX HIGH-SPEED」「L704i」などの音声端末,「F1100」「HT1100」といったスマートフォンが含まれているが,定額データプランを契約した場合は実質データ通信専用端末になる。

 なお,これらの端末で音声通話やiモードを利用しつつ,定額データプランを併用する方法がないわけではない。NTTドコモによると,定額データプランの対応機種を使い,音声の料金と定額データプランをそれぞれ契約したFOMAカード(SIMカード)をその都度差し替えれば可能という。ただ,「FOMAカードは単体で販売せず,基本的に端末とセットで購入する必要がある」(NTTドコモ)。つまり,端末を2台購入することになる。

現状の携帯電話網では無制限の定額制は難しい

 このように中途半端に映る定額データプランだが,事業者の事情を考えると仕方ない面もある。定額制を導入するとトラフィックが爆発的に増え,既存ユーザーの音声通話やデータ通信の品質に支障が出る可能性があるからだ。以前,NTTドコモに取材した際も「パケ・ホーダイの導入でトラフィックが15~20倍増えた。(今回の定額データプランについても)慎重に導入しなければ品質がガタガタになってしまう」(関連記事)と話していた。

 置かれた状況は他の事業者も同じ。「他社の追随,対抗値下げは24時間以内に発表する」と公約していたソフトバンクモバイルでさえ,今回のNTTドコモの発表には追随しなかった(関連記事)。同社は「公約は携帯電話向けの一般プランだけが対象で,今回は24時間以内の追随には該当しない」ことを理由としているが,実際には網のキャパシティの問題から定額プランの導入に踏み込めないという事情も大きいと思われる。「パソコン向け定額プランの導入は未定」である。

 KDDIの小野寺正社長兼会長も,9月19日の定例会見で「パソコン向けの定額制を無条件で導入するのは無理」と発言した。あるユーザーが通信すると他のユーザーが通信できなくなるといった状況は許されず,「ユーザーが公平に使える仕組みの導入を前提に検討している」という。

 5000万人以上のユーザーを抱えるNTTドコモとなればトラフィックの調整も難しいと想像され,“薄氷を踏む”思いで導入したのだろう。アプリケーションの厳しい利用制限もネットワークをパンクさせないための苦肉の策と言える。

 こうした状況を考えると,やはり「完全」なデータ定額の実現は,総務省が現在免許申請を受け付けている2.5GHz帯無線ブロードバンド(関連記事)や,NTTドコモが進めている「Super 3G」(関連記事)などの第3.9世代携帯電話(3.9G)に期待するしかないのであろう。

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