アスクルのCIOに相当する内田洋輔・戦略企画本部執行役員(兼)ビジネスシステム執行役員
アスクルのCIOに相当する内田洋輔・戦略企画本部執行役員(兼)ビジネスシステム執行役員

 アスクルは今、次世代のビジネスモデルの構築を急いでいる。従来までの文具のカタログ通販から、インターネットをフル活用した間接材全般の企業一括電子購買に事業を拡大する。そして、現在5%前後の売上高営業利益率を中長期的には7%以上確保できる企業体質を身につける。こうした次世代の姿を同社は「アスクル2.0」と表現する。

 その基盤作りのため、2007年から2009年までの3年間に合計約150億円を先行投資し、情報システムや物流を作り替える。岩田彰一郎社長兼CEO(最高経営責任者)とともに、これらの次世代ビジネスモデルを構築するための議論の中心にいるのが、同社のCIO(最高情報責任者)に相当する内田洋輔・戦略企画本部執行役員(兼)ビジネスシステム執行役員である。

 内田執行役員は現在、2007年11月に稼働を計画している「間接材一括購買システム」の開発の最後の詰めに追われている。この間接材一括購買システムはアスクルの次世代ビジネスモデルの中核を成す新システムだけに、開発の失敗が許されない。当初は2007年8月からの稼働を予定していたが、日程を3カ月延期してでも、顧客企業からの新たな要望に応えるとともに、開発途中に見つかるシステムのバグ潰しを続けている。

 アスクルは2001年から、文具主体の企業一括電子購買システム「アスクルアリーナ」を運営してきた。アスクルアリーナの契約企業数は直近の2007年5月期末時点で8300社を超えており、年間売上高は200億円を超えている。このアスクルアリーナに、11月に稼働する間接材一括購買システムが加わることで、2008年5月期には前期から一気に100億円の上乗せをして年間300億円の売上高を目指す。その時点での契約企業数は1万社以上を想定している。これらの青写真を現実のものにできるかどうかは、要となる新システムを開発する内田執行役員の手腕にかかっている。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・お客様視点と投資家視点、社員の視点、取引先などのパートナー企業まで含めた企業の集合体である「大アスクル」の視点、そして市場や社会の視点から、「事実」に基づいてタイムリーに必要な情報を簡潔に伝えること

・本音でコミュニケーションすること

・新しいテクノロジーや新しいサービスといったIT(情報技術)の動きについて、グローバルの動きをタイムリーに伝え、自社の対応について定期的にディスカッションすること

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・最新のテクノロジーやソリューションなどのタイムリーな情報提供を期待している。ただし、単なる情報提供ではなく、一歩踏み込んだ提案をお願いしたい。
 特に、当社のサービスを日々ご利用いただいているお客様に、我々アスクルがITプラットフォームを進化させることによって、どのような価値をお届けできるのかという視点を大切にした提案を望んでいる

・システムプラットフォーム全体において、安心・安全なソリューションであることに加え、環境への影響を考慮した製品とサービスの信頼できる品質の提供を期待している

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・日経情報ストラテジー
・日経ビジネス
・Harvard Business Review
・日経ネットマーケティング

◆最近読んだ本
・山根節の『経営の大局をつかむ会計、健全なドンブリ勘定のすすめ』(光文社)
・松崎和久の『戦略提携、グループ経営と連携戦略』(学文社)
・野村総合研究所の『これから情報・通信市場で何が起こるのか、IT市場ナビゲーター2007年版』(東洋経済新報社)

◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
NIKKEI NET
Read/WriteWeb
CNET

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー・学会など
・適時、外部のセミナーなどに参加

◆ストレス解消法
・明るく・楽しく・常に前向きに考える
・社内外の友人や仲間とのオフタイムでの食事やコミュニケーション
・家族との時間
・ゴルフ