今回取り上げるテーマはイーサネット・フレームだ。イーサネット・フレームとはイーサネットでデータを伝送するときの基本単位である。最近はイーサネットで構築されたLANが圧倒的に多いので,LAN上でデータを伝送する単位の「MAC(マック)フレーム」というとイーサネット・フレームを指していることが多い。

データはフレームに入れて運ぶ

 イーサネットで接続されている機器から機器へデータを送るとき,やりとりする信号は決められた長さに区切った“固まり”として送られる。そして,送信や受信,廃棄など,通信上のすべての処理はこの固まりを単位に実行される。イーサネットにおける通信の基本となる固まりがイーサネット・フレームなのだ。

 現在はほとんどのLANはイーサネットを利用している。つまり,LANでは最終的にはイーサネット・フレームの形にしてすべてのデータをやりとりしていることになる。

 そこで今回は,イーサネット・フレームについて基礎から学んでみよう。記事を通じて,イーサネット・フレームとは何か,どんな役割を果たすのか,内部構造はどうなっているかといった基本を押さえていきたい。

フレームを荷箱に例えた

 記事はLesson1~4の四つのパートに分かれている。基礎から応用的な内容まで,四つのステップで説明していく。

 Lesson1では,イーサネット・フレームとはそもそも何かを学ぶ。イーサネット・フレームがLAN上で果たす役割や長さが決められている理由などを解き明かそう。

 Lesson2では,イーサネット・フレームがどう作られ,LANの伝送路をどう流れて相手に到着し,相手側でどう処理されるかというプロセスを追う。イーサネット・フレームでデータを送る過程は,送り主から受取人まで小包を運ぶ過程に例えるとわかりやすい。そこで,IPパケットを小包に,イーサネット・フレームを小包を入れるトラックの荷箱に,イーサネットをトラックに見立てている。これを見て,LAN上でイーサネット・フレームがどんな働きをするかを整理しよう。

 Lesson3では,イーサネット・フレームの構成と各部の役割を解説する。実はイーサネット・フレームにはいくつかの規格があり,内部の構成が異なっている。それぞれの規格と,それらがLANで混在しても問題にならない理由を説明する。

 Lesson4では,イーサネット・フレームを拡張する技術を紹介する。具体的にはVLAN(ブイラン)とジャンボ・フレームを解説しよう。フレームを拡張することで,ネットワーク全体への影響はないか,あるとすれば何かを明らかにする。

 Lesson4まで終えたら,修了テストにチャレンジしていただきたい。修了テストでは,基本事項を中心とした穴埋め問題や選択問題と,やや難度の高い問題を応用用意している。イーサネット・フレームの役割や構成などが整理できるはずだ。