オープンソース/Linux

情報システムのトピックス-PR-

PS3やTOMOYOがデビューを果たしたOttawa Linux Symposium 2007 (2/2)

2007/09/18

OLS2007でのPLAYSTATION3とCell/B.E.に関するオープンソース活動

 今年のOttawa Linux Symposium 2007 (OLS) はPS3発売後最初の開催となった。SCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)とソニーからはLinuxエンジニア7名が,揃いの黒い PS3 Linux Tシャツを着て出席し,PS3と Cell/B.E.に関するプレゼンテーションを行い,オープンソース開発者たちと4日間にわたって議論をかわした。

SCEとソニーのLinuxエンジニア7名

PS3 BOF発表の紹介

 まず,6月29日にPS3 Bird Of Feathers(BOF)セッションをSCEが主催し,PS3用 Linux をメインとした発表を行った。PS3 BOFでは,Cell/B.E (ハードウエア),PS3 用Linux (ソフトウエア),開発環境(プログラミング)から,PS3用Linux関連コードのカーネルメインラインへの統合まで議論が多岐にわたり,オープンソース開発者がSCEに大きな期待を寄せていることがわかった。

 PS3 BOF で議論した内容の一部を抜粋してここで紹介する。

PS3 BOF

 PS3の心臓部であるCell/B.E.はPPE1個とSPE7個で構成されたマルチコアアーキテクチャを採用している。SPEは単なる浮動小数点ユニットやDSPではなく,最適化したSIMD命令をもつ汎用CPUコアです。PPE はSimultaneous Multi-Threading 機能によって仮想的に2個のCPUコアとして働く。またSPE7個のうち1個をシステムが占有していることからLinuxは PPE2個とSPE6個のソフトウエア実行環境をプログラマに提供している。従ってCPU コア数を表すペンギンマークがLinux 起動時に計8個表示される。

 次にCell/B.E.のパフォーマンスである。世界中のマシンの遊休時間でタンパク質の構造解析を行っているFolding@Homeの結果を見ると,Cell/B.E.搭載のPS3はWindowsマシンより端末数が約半分であるにもかかわらず,トータルではWindowsマシンの約5倍も貢献している。

 このような Cell/B.E. のパフォーマンスを生かした PS3用 Linux を実現する為にPS3 への対応方法を記述した技術ドキュメントをオープンソースコミュニティーに提供している。2007年8月現在 Linux ディストリビュータによってPS3にインストールができるようになったLinuxは, Yellow Dog Linux 5.0, ubuntu 7.04, Fedora 7以降などがある。

PS3 BOF発表によるフィードバック

 今回の PS3 BOF セッションの参加メンバーとの議論を通じて,SPE が単なる浮動小数点ユニットではない点や,Cell/B.E. プログラミングとLinuxに関する技術ドキュメントのことなどについて,理解を深めてもらうことができた。また,Linux を PS3 にインストールする時の注意点,少ないタイプ量でLinux を起動する方法のアドバイスなど,有意義な意見も得ることができた。

その他のPS3関連活動

 PS3 BOF が行われる前日の6月28日にはPower・Cell/B.E. BOF セッションを IBM が主催し,SCE/ソニー, IBM, Terra Soft SolutionsがPS3を使ったデモンストレーションを行った。SCE/ソニーではUSBカメラの入力を背景にジュリア集合に基づく動的な図形をリアルタイムにレイ・トレーシングして描画するデモを披露した。我々のデモブースではGreg Kroah-Hartman氏をはじめ主要なカーネル開発者も現れ,多くの OLS 参加者の注目を集めた。

 またOLS開催中,OLS の主催者が会場にYellow Dog LinuxをインストールしたPS3を常時3台設置してくれ,参加者にweb閲覧と電子メールを自由に使ってもらうことができた。これによりPS3を所有していない人でも PS3用 Linux を体験できた。

OLS会場に置かれたPS3

 実は今回一番盛り上がったイベントが,PS3 抽選会だった。まずOLSで慣例となったJonathan Corbet氏によるオープニングトークの後に 我々から PS3 を抽選で3名の当選者に手渡した。6月28日の Power・Cell/B.E. BOF セッションでも IBM から7台の PS3 が参加者にプレゼントされた。最終日の6月30日のクロージングトークでは,IBMからHDMIディスプレイ,キーボード,マウス付きのPS3が3台,我々からは5着のPS3 Linux Tシャツが当選者にプレゼントされた。また,ソニーからはデジタルカメラのサイバーショットを1台提供,その中に組み込まれているLinuxカーネルなどのソースコードを納めたCDを一緒に贈呈したことで,会場から大きな拍手が起こった。

OLS での活動の総括

 OLSでは例年,スポンサーとしてオープニング・レセプションに大量の景品を配布し,尚且つ,多数の社員が参加するIntelの存在感が最も大きく,次にIBM,HPが続いていた。しかし今年は,SCE/ソニー がPS3に関する発表とデモを行い,会場にはPS3が自由に使えるメール端末として置かれ,またSCE と IBM から合計13台のPS3がプレゼントされるなど,OLSで大きな存在感をアピールできたのではないかと考えている。

 その結果,Linux コミュニティーで非常に購読者が多いLWN.net (旧 Linux Weekly News) のOLS 現地レポートに,PS3 Linux Tシャツを着たメンバーの紹介も掲載された。

 最後に,OLS のクロージングトークで壇上に上がる機会を与えていただいたOLS 主催者の Craig Ross 氏をはじめ,今回の 我々の活動をバックアップしていただいた IBM,Terra Soft Solutions の社員を含めた全コミュニティーメンバーに感謝したい。

(ソニー・コンピュータエンタテインメント
コンピュータ開発本部分散OS開発部1課 塚本明)

参考文献

[1]Ottawa Linux Symposium 2007
http://www.linuxsymposium.org/2007/index_2007.php

[2]Distributed Cluster Computing on Cell/PS3
http://www.linuxsymposium.org/2007/view_abstract.php?content_key=98

[3]Folding@Home on the PS3
http://folding.stanford.edu/FAQ-PS3.html

[4]PS3 Linux Distributor's Starter Kit
ftp://ftp.uk.linux.org/pub/linux/Sony-PS3/

[5]Linux on Power/Cell BoFS
http://www.linuxsymposium.org/2007/events.php

[6]PS3上のLinuxでCellプログラミング,CE Linux Forumのイベントでデモ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061210/256495/

[7]Linux Symposium 2007 - a summary
http://lwn.net/Articles/240402/

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