6年前、日本でBCP(事業継続計画)を策定している企業はほとんどなかった。その状況が、ここ数年で大きく変わってきている。取引先からの要請がスタートの動機だったりする企業も多いが、BCPの策定に本気で取り組み始めたのだ。連載の第3回と第4回は、国内における企業BCP策定の実態と、そこでITがどのように活用できるのかを紹介する。


 第3回では、日本企業におけるBCP策定の実態を示した。

 こうしたBCP策定においては本来、情報システム部門が担う役割は大きい。今やシステムなしでは業務を遂行することが難しいため、「業務中断を防ぐ日常からの対策」にしても「緊急事態発生時の復旧対応」にしても情報システム部門が中心とならざるを得ないからだ。しかし実際には、そうなっていない企業は少なくない。

 バックアップ・センターの構築やシステムの2重化など、システム面の対策はそれなりに費用がかかる。どこにコストをかけ、どの部分は手を抜くか。各部門の代表が集まる会議で情報システム部門は、積極的に情報を提示し、選択肢を示すべきである。

 一方で、別の面で情報システム部門がすべきこと、できることがある。それは、BCP/BCMの推進におけるITの活用だ。例えば大規模災害における対応行動と必要な情報は、図1のように示すことができる。緊急事態発生時に担当者は、このような情報を収集、分析して的確な判断をし、報告や指示を出さなければならない。ITによって自動化や効率化を進めることができれば、判断を迅速にし、間違いを減らすこともできる。情報の一元化や記録にもITは有効だ。

図1●大規模災害における対応行動と必要な情報、およびITによる支援の例
図1●大規模災害における対応行動と必要な情報、およびITによる支援の例
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