Microsoftは7月に,SQL Server 2008のCTP(Community Technology Preview)2(July CTP)をリリースした。6月のCTP1(June CTP)リリースからわずか6週間という早さは,Microsoftの積極的な姿勢を示している(訳注:SQL Server 2008 の初めての日本語プレビュー版である「SQL Server 2008 Community Technology Preview 10月版」は10月上旬に提供開始予定:マイクロソフトのWebページ)。

 CTP2では重要な新機能が溢れんばかりに追加されたわけではないが,続けざまにリリースされたことからは,完成した新機能はできるだけ早くコミュニティに提供しようというMicrosoftの意志が感じられる。CTP2で導入されたのは,以下の機能である。

  • Reporting Servicesの新機能として,Report Designerと構成ツール,さらにMicrosoftが「エンタープライズ・レポーティングエンジン」と呼ぶ機能が追加された。このレポーティングエンジンは,これまでと違って,Microsoft IISに依存せずに動作する(すばらしい!)。また,以前のリリースよりも拡張性が強化されたと言われており,テーブルとマトリックスが融合したTablixと呼ばれるレポート項目がサポートされている。
  • データ・マイニング(Analysis Services)に新しいタイムシリーズ(時系列)予測アルゴリズムが追加され,これまで以上に安定した長期間の予測を生成できるようになった。
  • 新しいカタログビューといくつかの動的管理機能が追加され,オブジェクトの依存関係の検出精度が向上した(すばらしい!)。この機能は,DBA(データベース・アドミニストレータ)にとっても,サードパーティ製ツールにとっても非常に有益である。
  • 新しいフレームワークとしてPerformance Data Collectionが追加された。これはSQL ServerとOSから独自の動作状態データを収集する機能であり,日常保守やパフォーマンスに重大な問題が発生した際のトラブルシューティングにおいて状況をより詳細に把握するのに役立つ。
  • SQL Server Extended Eventsと呼ばれる新しい「サーバーシステム向け汎用イベント処理システム」が追加された。この機能を使うと,SQL ServerとOSのイベントだけでなく,アプリケーションのイベントも統一的に処理できるようになる。
  • データベース・ミラーリングは「2.0」にバージョンアップされ,多くの機能が強化されることによって,プラットフォームとしての信頼性が向上した。
  • ORDPATHの階層データ処理能力が強化された。
  • ユーザー定義型に対する8KB制限が撤廃され,サイズの大きいユーザー定義型もサポートされるようになった。
  • 日付と時刻に関する様々なデータ型が追加され,日付と時刻の情報を別々に保持することが可能になった。また,格納可能な値の範囲および精度が拡張され,タイムゾーン・オフセットに対応した日時データ型に対するサポートが追加された。新しく追加されたこれらのデータ型は,リレーショナルデータ・ウエアハウジングやオンライン・トランザクション処理(OLTP)で非常に役に立つだろう。
  • XMLサポートが強化され,新しく追加された日付と時刻に関するデータ型のサポートのほか,結合機能関連のサポートも強化された。

 CTPごとに追加された新機能を把握するための対話形式のグラフィックスが,Microsoftのサイトで公開されている。また,CTP2の新機能について紹介するオンデマンドWebキャストが,こちらで公開されている。CTP1のWebキャストについては,「SQL Server 2008 LiveMeeting Schedule」が参考になる。