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第8回 明治製菓のWebブランド力

2007/09/04
原田千佳=日経BPコンサルティング/古賀雅隆
 今回は「Webブランド調査」2007-I(アンケート調査は2006年11月に実施)から2007-III(同2007年5月に実施)の結果をもとに,明治製菓サイトをWebブランド力の観点から見てみたい。

 「Webブランド調査」は,企業が運営する800のサイトを四半期ごとに定点評価するアンケート調査で,他社サイトと比較しながら企業サイトのブランド・ポジションを客観的・相対的に検証することを目的としている。調査結果はコンテンツ認知度,アクセス度,評価,ロイヤルティ,ユーザビリティの五つの指標スコアと,総合力を示すサイトブランド指数として算出される。

カールおじさんが「愛され系」の明治製菓サイトのブランドをバックアップ

 数値データを見る前に,まず明治製菓サイトの特徴とアンケート回答から寄せられた自由意見を見てみよう。

 調査期間中,明治製菓サイトでは特に大きなリニューアルは行われていない。赤を基調にしたデザインで,トップページ上部左側のFLASHを使用したスペースが3種類のキャンペーンサイトへの誘導元となっている。このFLASH部分に表示されるコンテンツは定期的に変更されており,訪れた人を飽きさせない工夫を感じさせる。右上にはおなじみのキャラクター「カールおじさん」を配置。カールおじさんも時候に合わせて衣替えをしており,ほのぼのとした味わいがアクセントになっている(図1)。

 3度にわたる調査で明治製菓サイトに寄せられた自由意見173件のうち,多かった意見は「楽しい」が25件,「かわいい」が23件と,親しみを感じさせる「愛され系」サイトであることがうかがえる。また,商品名を含む意見では「カール」に集中して12件となった。トップページのカールおじさんもサイトのブランディングに一仕事しているようである。製品というサブブランドが,コーポレートブランドを後押ししているかっこうだ。

図1:左から2007-!)1調査(2006年11月),2007-2!)調査(2007年2月),2007-3!)調査(2007年4〜5月)各時点における明治製菓サイトのトップページ
  

高い伸びを見せる明治製菓サイトの勝因は認知度アップ

 最新の「Webブランド調査2007-!)」の結果,明治製菓のサイトブランド指数は69.4,800サイト中55位となった。2007-!)調査時にはサイトブランド指数が51.9で800サイト中243位。3回の調査期間で17.5ポイントの上昇で,上昇率では800サイト中の1位である。同期間中,800サイトの全体平均値は2.1ポイント,食品・飲料系企業サイトの平均値は2.8ポイントの伸びであることを考慮すると,明治製菓の伸びは「目を見張るほど」であるといっても過言ではないだろう(表1)。

表1:総合力を示すサイトブランド指数の推移

 次に,サイトブランド指数を構成する五つの個別指標について,明治製菓サイトに対するユーザーの意識にどのような変動が起きているかを見てみたい。

 2007-!)調査時から2007-!)調査時にかけて最も伸びているのはサイトの使い勝手を示すユーザビリティで,24ポイント増である(表2)。次にコンテンツ認知度と評価で,共に19ポイント代前後の上昇となっている。この3指標は直近2回の調査時にも大きく上昇していた。同期間中に明治製菓サイトでリニューアルが行われたわけではないことを考慮すると,大幅な伸びをもたらした要因は,まずコンテンツ認知度にあるとみて間違いない。

 Webブランド調査では,コンテンツ認知度を算出するにあたり,「サイトの内容(コンテンツ)をどの程度知っていますか」という設問に対し,「よく知っている」から「全く知らない」までの5段階での回答を得ている。明治製菓サイトの回答者実数ベースでの推移では,3回の調査で「全く知らない」の回答率が28.1%減っており,反対に「よく知っている」回答率は11.4%増加していた。

 アクセス度も見てみよう。「どのくらいの頻度でこのサイトにアクセスしていますか」という設問に対し,コンテンツ認知度と同様5段階で回答してもらうものだ。ここでは,「全くアクセスしたことがない」の回答率が3回の調査を通じ22.5%減っており,「一度はアクセスしたことがある」つまりライトユーザーと見られる回答が12.0%増加していた。  こうした結果から以下の仮説を導き出すことができる。

  • CMと連動したキャンペーンやSEOなどの施策がサイトへの流入に貢献し,アクセスを増加させている。
  • アクセスの結果,訪れたサイトが明治製菓のものであることがしっかりと認識され,コンテンツ認知度の上昇を促している。
  • アクセスの結果,サイトの使い勝手の良さをユーザーが認識し,ユーザビリティの上昇に貢献した。同時に,好感度や信頼度も上昇した。

表2:明治製菓サイトの個別指標の推移

ユーザーの属性から見る明治製菓サイト女性と情報感度の高い人がロイヤルティ向上に貢献

 Webブランド調査の中で,サイトの利活用度を示すのがロイヤルティである。「AISAS」に代表される消費行動モデルから,「認知・流入,情報共有」「情報の閲覧」「行動・成約」の視点で15の個別項目に対する任意回答によって算出している指標である。

 明治製菓サイトに高いロイヤルティをもたらしているユーザー属性には,いくつかの特徴的な傾向が見られる。一つ目に,女性ユーザーからのアクセス度,好感度,ロイヤルティが高いことも特徴であるが大きな特徴である。特に女性29歳以下の好感度は800サイト中8位,同30歳代で9位,同40歳代で19位と,やはり若い女性から愛されるサイトであることを示す結果となった(2007-3!)調査)。

 興味深いのは,女性29歳以下ではアクセス度が71.0でロイヤルティが66.5,それに対し女性40歳代ではアクセス度が63.3でロイヤルティが68.9と逆転している点だ。仮説としては,女性29歳以下ではライトユーザーが多く,実際にサイトを使って通じて会員登録したり,リアルで商品を購入するなど「行動・成約」を果たしているのは女性40歳代であることが考えられる。

 次の特徴として,Web2.0的な行動に結びついている点にも注目したい。ネットにおける情報発信に積極的なユーザー,すなわち「自分のホームページへの書き込み」「自分のブログへの書き込み」「他人のブログへのコメント等」「掲示板への書き込み」「SNSの利用」という五つの項目について「行う」としているユーザーのからのスコアが特に高い点を挙げたい。2007-1!)調査時点では,これら五つの情報発信に積極的な属性を持つユーザーからのロイヤルティ・スコア平均値は57.8だったが,2007-2!)調査で70.3,2007-3!)調査では73.5と上昇している。

 特に「自分のブログへの書き込み」をするユーザーからはサイトブランド指数でも総合27位,「他人のブログにコメント」するユーザーからは23位,「SNSの利用」ユーザーからは28位(以上2007-!)調査)といわゆるオピニオン・リーダー層へ上手くアピールできていることが強みとなっている。情報感度の高い人々を巻き込んだことによる口コミ効果がロイヤルティ向上に貢献しており,サイトの利活用度アップにおける「良いスパイラル」の中にあることが示された。

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