木瀧裕介氏

 NTTデータの公共ビジネス推進部でオープン技術の推進を担当するエンジニアとして活躍している木瀧裕介氏は、かつて金融機関系システム会社とメーカー系ソリューション・プロバイダに勤務し、ユーザー企業のシステム開発に携わってきた。

 大学で専攻したのは情報工学。大学受験を控えた頃から「今後はITが時代の要になる」と思い、情報工学科に進学した。大学時代に金融に興味を持った木瀧氏は、専攻している情報工学を生かせる会社ということで、金融機関系システム会社に就職した。その後、幅広いスキルを身に付けたいと思い、オープン・システム開発に力を入れているソリューション・プロバイダに転職した。



ある日のスケジュール

オープン・システムの開発で
幅広い知識を身に付ける

 メーカー系のソリューション・プロバイダでは、主にUNIXやWindows環境でのアプリケーション開発に従事した。CRM(顧客情報管理)やSFA(営業支援)、グループウエア、映像配信システムなど、さまざまなシステム開発に参画したことで、木瀧氏はJavaやCなどのプログラミング言語、Oracleデータベース、Webアプリケーション・サーバーなど、オープン・システムの知識を幅広く身に付けることができた。

 業務を通して必要な技術・知識を学ぶ一方で、「幅広いフィールドのスキルを身に付けて、IT業界のどこにいっても通じるエンジニアになりたい」とも考えた。ネットやセミナー、技術文献などで自主的に勉強して、技術の習得とスキルの向上に努め、第一種情報処理技術者はもちろん、マイクロソフトのMCP、Sun Java認定資格、ORACLE MASTERなどの資格も積極的に取得した。

 こうしてスキルを向上させていった木瀧氏は、開発チームのリーダーに昇進し、要件定義や仕様書作成などの上流工程から開発・デバッグといった下流工程に至るまで、開発チーム全体を取り仕切る立場になった。

 そんな木瀧氏が転職を考えるようになったのは、システム全体のアーキテクチャを設計するITアーキテクトという仕事に興味を持つようになったからだ。開発チームのリーダーとして仕事をしていくうちに、企業全体のビジネスを左右するほどITが重要になってきていることを痛感した木瀧氏は、ビジネス・アーキテクチャの構築やアプリケーション・アーキテクチャの設計を通して、ユーザー企業のビジネスに役立ちたいと思うようになった。

転職先を見つけるのに一苦労
条件に合った会社を見つけ応募

 しかし、勤務していたソリューション・プロバイダには、残念ながら上流設計を担当するITアーキテクトという職種はなかった。プロジェクト全般を長期間にわたって管理する開発チームのリーダーの仕事そのものに不満はなかったが、木瀧氏はITアーキテクトとして成長していきたいという夢を諦めることはできなかった。

中野恭兵氏
キャリアパスに悩んでいるなら、一つでもいいので何かコアとなる技術を身に付ければ、そこから自分の進む道が見えてくると思います。

 木瀧氏は、ITアーキテクトになれる会社、ITアーキテクトとして仕事ができる環境を整えている会社を探してみた。しかし、転職サイトや転職情報誌などを見ても、IT企業が募集している職種のほとんどはプロジェクト・マネジャーだった。運良くITアーキテクトを募集しているIT企業を見つけても、仕事の内容に興味を持てそうもないケースが多かった。半ば転職を諦めそうになったとき、NTTデータがITアーキテクトを募集していることを知った。しかも仕事の内容もおもしろそうだったので、木瀧氏は迷わず応募した。

 NTTデータでは、中途採用する際、職種だけでなく、応募者の志向と配属部署の希望が合うかどうかを考えながら採用を決めている。木瀧氏の場合、ITアーキテクトの募集に加え、ユーザーが利用している姿が思い描けるような身近なシステムの開発に参画したいという木瀧氏の希望も考慮して採用が決まった。

 木瀧氏は、NTTデータに入社後、公共分野の開発案件に対する技術支援などを主に担当している。具体的には、システムの提案から要件定義、システムのアーキテクチャ設計、そのアーキテクチャ上で使用するフレームワークの整備、開発プロセスの整備、共通機能の設計といった上流工程を受け持つ。「今まで参画したことがないような大規模プロジェクトを担当しているので、すごくやりがいを感じています」と木瀧氏は目を細める。


木瀧裕介氏 Yusuke Kitaki
株式会社NTTデータ
1974年生まれ。1997年3月中央大学卒業、同年4月金融系情報システム会社に就職後、1998年4月メーカー系ソリューション・プロバイダに転職。2005年10月NTTデータに入社。現在、公共ビジネス推進部 技術戦略部 オープン技術推進担当