MACアドレスは,ネットワークでやりとりするデータの中に書き込まれている大事な情報だ。そのデータを,どの端末からどの端末に送るのかという基本的な情報を示している。

 だが,Webやメールをはじめとする実際の通信操作で,MACアドレスをじかに指定することはほとんどない。このため,普段パソコンを使っているだけでは,エンドユーザーがMACアドレスを意識することはまずないだろう。いったい,MACアドレスにはどのような情報が詰まっていて,どのようにして自分や相手の指定に使っているのだろうか。

 また,通信相手を指定するという意味では,よく目にするIPアドレスというものもあるはず。このIPアドレスとMACアドレスとは,何がどう違うのだろうか。

MACアドレスの構造を確認

 これから始まる四つのレッスンでこれらの疑問を解決していく。すべて読み終われば,MACアドレスについて十分な知識が得られるはずだ。

 Lesson1は,MACアドレスが通信でどのように使われているのかという基本を見ていく。ここで,IPアドレスとMACアドレスがどのように連携しているのかを確認しよう。このLesson1を読めば通信のしくみが見えてくるだろう。

 続くLesson2のテーマは,MACアドレスの構造である。MACアドレスは48ビットで構成されており,その中で最初のビットが重要な意味を持っている。このビットが0ならネットワーク機器1台だけを意味する。LANカードやルーターといった各機器に出荷時点から設定されているものだ。一方,このビットが1なら,複数のネットワーク機器が対象となる。必要に応じて複数の相手を指定する場面でセットする。

 Lesson3では,MACアドレスからベンダーを検索する方法と,MACアドレスの活用方法を紹介する。各機器に出荷時点から設定されているMACアドレスは,前半部分がベンダーを表す特別な番号になっている。この番号は,IEEEが各ベンダーに割り当てており,IEEEのWebページで番号からベンダーを検索できる。つまり,出荷時点に設定されているMACアドレスを使えば,その機器を開発したベンダーを特定できるのだ。これを活用した管理の例もいくつか紹介しよう。

 Lesson4では,MACアドレスのユーザー設定について説明する。ネットワーク機器には,出荷時に設定されているMACアドレス以外のMACアドレスに変えられるものがある。ただし,MACアドレスを変えることには,メリットとデメリットがある。

 修了テストでは,Lesson1~4で説明した内容をチェックする。MACアドレスの構造や使い方といった基本的な部分から,ネットワーク機器で扱うしくみまで幅広い知識を問う。まず,修了テストをやってみて,自分の弱い分野を把握してから読んでみるのもいいだろう。