• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • PR

  • PR

  • PR

  • PR

  • PR

改めて知っておきたい,携帯電話の災害対策

マイクロセルが生きるPHS,停電にも強いというそのワケは?

佐野 正弘/ライター 2007/09/07 ITpro

 PHSは携帯電話と通信方式が違うだけでなく,インフラ面でも携帯電話とは全く異なる仕組みがある。そのためPHS事業者のウィルコムは,災害時の対策や,その対応に関しても,携帯電話事業者とはかなり違ったものを持っている。

多数の基地局で負荷分散,ウィルコム同士ならNTTの通話規制も回避

 通信インフラの面で,PHSが携帯電話と大きく異なっているのは,基地局からの電波の出力である。携帯電話は電波の出力が強く,1つの基地局で幅広いエリアをカバーする「マクロセル方式」である。これに対して,PHSは電波の出力が弱いことから,より多くの基地局を用意することでエリアのカバーを行う「マイクロセル方式」を採用している。

 マイクロセル方式は,携帯電話に比べて同じ面積当たりの基地局数が非常に多いことから,必然的にトラフィックも分散され,1つの基地局に対する負担が低くなる。そのため,基地局に対する輻輳(ふくそう)は,携帯電話と比べて起こりにくい。事実,過去の災害によってウィルコムが通話規制を行ったことはないという。

 とはいえ,PHSはバックボーンにNTT東西地域会社のISDN網を使用しているため,仕組み上はNTTが行う通話規制の影響を受ける。だが実際は,これを回避できるケースも少なくない。

 ウィルコムは現在,NTTの交換機にITX(IP transit exchange)という装置の設置を進めている。ITXは,NTTとの接続料(アクセス・チャージ)を支払う必要があるNTTの回線をバイパスし,ウィルコムのIP網を経由してウィルコム同士の通話/通信を直接接続するためのゲートウエイのこと。こうしたバイパス方式は,ウィルコムPHS同士の音声通話の定額制を実現するために設けられたものだが,同時にウィルコム同士であればNTT回線を経由しないため,緊急時でもNTTの通話規制を受けることなく,つながりやすいことを意味している(図1)。

図1●PHSは本来,NTTによる規制の影響を受ける仕組みとなっている。ただしウィルコム同士の通話であればITXを経由することでそれを回避できる
図1●PHSは本来,NTTによる規制の影響を受ける仕組みとなっている。ただしウィルコム同士の通話であればITXを経由することでそれを回避できる

 もっともITXの設置状況は,現在,全国で約8割とのこと。場所によっては規制の影響を受ける可能性もある。とはいえ,「ウィルコムPHS同士の通話であればつながりやすい」ということは,万が一のときのために覚えておいて損はないだろう。

停電時にも「一部の基地局は生き残る」,小型基地局で復旧も容易

 携帯電話の災害対策における重要な要素でもあった,基地局の停電対策はどうなっているのだろうか。PHSはマイクロセル方式を採用しているため,基地局の数は全国に約16万局と非常に多い。これだけの数の基地局に対し,その半分に満たない数である携帯電話の基地局と同等の設備を用意するのは現実的とはいえない。事実,一部の基地局にはバッテリー設備を持っているものの,ほとんどの基地局にはバッテリーは備え付けられていない。また可搬型の発電装置も,ほとんど準備していないのが実情だ。

 ではPHSは停電に弱いのかというと,実はそうでもないとウィルコムは言う。これには,電力の供給網の構造が大きく影響している。電力会社は通常,付近一帯が一斉に停電にならないよう,複数にわたる電力の供給ルートを設けている。ウィルコムの基地局は数が非常に多いことから,その電力供給ルートも必然的に多岐にわたることになる。つまり,近くの基地局だからといって必ずしも同じ経路で電力供給されているわけではないのだ。

 そのため,被災地で停電が発生したとしても,一部の変電所からの電力供給が残されていれば,比較的広い範囲の基地局が生き残ることになるとウィルコムは言う(図2)。停電からの復旧も,変電所ごとに供給が再開されることが多いため,同様のことが言える。自宅付近の基地局が残るかどうかは分からないものの,少し歩けば稼働している基地局が見つかる可能性はある。

図2●電力供給ルートは多岐にわたるため,停電が発生しても一部の基地局は生き残る可能性がある
図2●電力供給ルートは多岐にわたるため,停電が発生しても一部の基地局は生き残る可能性がある

写真1●2004年の新潟県中越地震で電柱が傾いてしまったPHS基地局。基地局自体は動作し続けていたという(ウィルコム提供)
写真1●2004年の新潟県中越地震で電柱が傾いてしまったPHS基地局。基地局自体は動作し続けていたという(ウィルコム提供)
[画像のクリックで拡大表示]
 
 なお,今年7月の新潟県中越沖地震では,災害発生直後の停電の影響で150基地局が停止した。しかし,3時間後には1%程度を除くほとんどの基地局が復旧したとしている。

 また,PHSの基地局が小型であるということも,災害時においては有効に働くことが多いという。携帯電話の基地局は大型であり,復旧させるのにかなりの手間がかかってしまうが,PHSは基地局自体が小さいので,壊れた基地局を取り替えるだけで速やかに復旧できてしまうというわけだ。

 もっとも,実際の災害において基地局が物理的に完全に破壊されたというケースはほとんどなく,被害を受けたとしても基地局を立てる電柱が傾いたり,一部のアンテナが折れて出力が弱まったりする程度だという(写真1)。これは,ウィルコムが平野部を中心に基地局を展開していることも大きく影響しているようだ。

ここから先はITpro会員(無料)の登録が必要です。

次ページ 乾電池一つで動作する防災用PHS誕生の可能性も
  • 1
  • 2

あなたにお薦め

連載新着

連載目次を見る

今のおすすめ記事

ITpro SPECIALPR

What’s New!

経営

アプリケーション/DB/ミドルウエア

クラウド

運用管理

設計/開発

サーバー/ストレージ

クライアント/OA機器

ネットワーク/通信サービス

セキュリティ

もっと見る