97、2000、XP、2003…何かとユーザー企業の頭を悩ませる、Office製品の「バージョン違い」問題。ラフォーレ原宿は「SoftGrid」を利用することで、1台のパソコンで4つのバージョンのOffice製品を同時利用できる環境を構築した。同社の木島信宏氏に、導入の経緯とメリットを聞いた。

木島 信宏 氏
ラフォーレ原宿
業務企画ディビジョン マネージャー

 当社の情報システムには,マイクロソフトのExcelやOfficeのバージョンが4種類も混在している。「97」「2000」「XP」「2003」である。しかし、「SoftGrid」というツールを利用することで、1台のパソコンで複数のバージョンを同時利用できている。

 なぜ4種類ものバージョンが混在してしまったのか。ラフォーレ原宿を代表とするショッピングセンターの開発や運営などを手がける当社は、会員管理や売り上げ分析といった基幹業務システムを導入した時期がそれぞれ異なり、その時々に、入手しやすく安定動作するバージョンのExcelやOfficeを選択してきたからだ。当社は、業務システムのフロントエンド・ツールとして、ExcelやOfficeを長年利用している。

 ExcelなどOfficeアプリケーションは、1台のパソコン(1つのOS)上で新旧バージョンを並行稼働できない。複数バージョンを併用するには、新旧2台のPCを並べておいてそれぞれを使う、仮想PCソフトを使って1台のPC上で複数のOSを稼働させる、といった方法がある。

 しかし、2台のPCを並べて使う方法は設置スペースを考えると現実的ではないし、仮想PCソフトを使う方法は各OSごとにセキュリティ・パッチやウイルス対策ソフトを適用する必要があり、手間がかかる。

 ExcelやOfficeのバーションを最新のものに統一し、すべての業務システムのフロントエンド部分を最新版Excel/Officeで処理することも検討したが、アプリケーションの修整に想定していた以上にコストと手間がかかるため断念した。

 4世代のOfficeを効率よく同時利用する手段として、ソフトリシティという会社が販売していたSoftGridというツールを選択した(注・ソフトリシティはその後、マイクロソフトに買収された。現在、SoftGridはマイクロソフトが販売している)。それまで色々な製品を買うなど付き合いのあった販売会社から紹介を受け、早速テストしてみた。アプリケーションを仮想化するための操作方法に特徴があり、最初はとまどったが、すぐに慣れた。現在、全社にある約120台のパソコンに導入して利用している。今では、ソフト会社や販売会社に頼らず、自力で運用している。

 SoftGridは、アプリケーションが実行時に参照する様々なシステム・ファイル(exe/dll/ini)やレジストリなどを、アプリケーションごとにパッケージングしてくれる。SoftGridを使えば複数バージョンのExcelやOfficeを1台のパソコンで同時に動かしても、システム・ファイルやレジストリの競合を避けられる。

 SoftGridのような新しいツールの登場で、ExcelやOfficeのバージョン混在問題は、以前と比べ乗り越えやすくなったと思う。最新バージョンに統一するだけが解決策ではない。

(聞き手は菅井 光浩=日経コンピュータ)