経営とITサイトと日経BPコンサルティングは、「経営とPC」をテーマにしたアンケート調査を実施した。経営改革やPC利用に関して、管理職や一般社員といったユーザー部門と情報システム部門の意識の差を探ることが目的である。調査結果について、数回にわたり、報告する。

 今回の調査では、「勤務先のパソコン導入は、将来どのような方向に向かうと思いますか」という質問を入れた。やや強引であるが、回答の選択肢として次の四つを用意し、「最も近いと思うもの」を一つだけ選んでもらった。四つとは、「モバイル環境で利用できるノートパソコンの導入」「価格の安いデスクトップパソコンの導入(リプレース)」「シンクライアントのようなサーバー処理型端末の導入」「高性能なデスクトップパソコンの導入(リプレース)」である。

 回答者全体では、「ノートパソコン」が28.5%、「安いデスクトップ」が27.3%、「シンクライアント」が21.4%、「高性能デスクトップ」が15.7%という結果になり、特に方向性というものは見えなかった。各企業ごとに、パソコン利用の将来像を模索中ということだろう。

 ただし、企業規模を分けて見ると、顕著な差が現れる。従業員100人~499人の企業の場合は、「安いデスクトップ」を入れる方向とする回答者が多い。例えば一般社員の場合、39.6%が「安いデスクトップ」と答えたが、従業員数500人以上の企業の一般社員を見ると23.0%に過ぎない。

 一方、従業員数500人以上の企業においては、管理職の31.6%と一般社員の36.3%が「ノートパソコン」が将来の方向と答えたが、情報システム担当者は20.0%にとどまった。情報システム担当者が将来の方向として見ているのは「シンクライアント」の導入で、38.0%がこれを選んだ。

 シンクライアントとは、処理の多くをパソコン側ではなく、ネットワークの向こう側にあるサーバーで処理する仕組みである。セキュリティが確保でき、運用が簡単になると期待されており、従業員数500人以上の企業の情報システム担当者はかなりの期待をかけている。ただし、本調査によれば、管理職や一般社員は、ノートパソコンを期待しているわけで、この差をどう埋めていくか課題と言えるだろう。