経営とITサイトと日経BPコンサルティングは、「経営とPC」をテーマにしたアンケート調査を実施した。経営改革やPC利用に関して、管理職や一般社員といったユーザー部門と情報システム部門の意識の差を探ることが目的である。調査結果について、数回にわたり、報告する。
今回の調査の狙いは、企業の管理職と一般社員、情報システム担当者の三者における、パソコンについての意識の差を浮き彫りにすることにあった。差が明確に出た調査項目の一つが、「パソコンの重要特性」である。「処理性能の高さ」「高度なセキュリティ機能」といった13項目を列挙し、それぞれについて「非常に重要」「まあ重要」などと五段階で評価してもらった。
「非常に重要」を選んだ人の比率を基に順位を付けると、第1位は「処理性能の高さ」(61.4%)、第2位が「高度なセキュリティ機能」(56.7%)、第3位が「障害時の自動復旧機能」(41.8%)、第4位が「価格性能比の高さ」(36.1%)、第5位が「OSなど基本ソフトの自動更新機能」(26.3%)と「購入時の価格の安さ」(同)となった。
興味深いのは、管理職がセキュリティをはじめ、各項目について重要視していたのに対し、情報システム部門は総じて「非常に重要」と答えた率が低く、機能よりも価格に注目していたことだ。
例えば、従業員数500人以上の企業の管理職においては、1位が「高度なセキュリティ機能」(68.9%)となり、全体平均よりかなり高い結果になった。これに対し、従業員数500人以上の企業の情報システム担当者も「高度なセキュリティ機能」を1位にしたが、その率は50.9%と管理職より18ポイントも低い。
逆に、「購入時の価格の安さ」を見ると、従業員数500人以上の企業の情報システム担当者は29%が非常に重要と答えたのに対し、管理職は22.6%であった。また、全体で8位だった「保守、管理費削減のための機能」は、システム担当者の3割近くが非常に重要としたが、管理職や一般社員の関心は高くなかった。
管理職は「無線LAN、モバイル利用への対応」についても比較的高い評価を与えていた。これはセキュリティ確保と逆行する項目である。つまり、管理職はセキュリティは守って欲しいが、性能も欲しいし、モバイルでも使ったらどうだ、という積極姿勢を持っている。一方、「無線LAN、モバイル利用への対応」について重要視したシステム担当者は少なかった。情報漏洩の危険度を高めるモバイル利用など、勘弁してくれ、といったところだう。パソコンは使わないといけないから使うが、多くを期待せず、できるだけ安く買い、大過なく過ごしたい、というシステム担当者の本音が感じられる。
|